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福音書 ふくいんしょGospels

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

福音書
ふくいんしょ
Gospels

神からの喜ばしい救いの知らせをもたらした神の子イエスキリストの教えと生涯についての人々の証言の記録。中核となるテーマは,イエス・キリストの十字架上の死とその復活である。新約聖書正典であるマタイマルコルカヨハネのいわゆる4福音書のほかに,経典外聖書に含まれるペテロ,ヘブル人,エジプト人ニコデモヤコブ,バルトロマイ,トマスの名を冠するものなどがある。4福音書は1世紀後半から2世紀にかけてマルコ,マタイ,ルカ,ヨハネの順で成立したものとみられ,2世紀後半以来正典として認められるようになった。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

福音書

初期キリスト教には多くの分派が存在し、口承されてきたイエスの言行をその有力な弟子たちである使徒の名前を題に掲げて伝える「福音書」にもさまざまな種類があった。正統なキリスト教が確立されていく過程で大半が「異端」とされ、新約聖書が編まれた段階でマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4福音書だけが正典となった。「ユダの福音書」は、紀元180年に出た異端批判の文献の中で言及されているため、存在自体は知られていたが、失われたものと考えられていた。

(2006-04-07 朝日新聞 夕刊 2総合)

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世界大百科事典 第2版の解説

ふくいんしょ【福音書 Evangel】

後2世紀以後の呼称で,イエスの言葉と業(わざ)を相互に連関させ,その死にいたるまでを叙述する文書を指す。最古の《マルコによる福音書》は後70年ころ,《マタイによる福音書》と《ルカによる福音書》が80‐90年,《ヨハネによる福音書》が100年ころの成立と考えられる。〈……による福音書〉という語法には,元来一つであるべきイエスの救いの〈福音〉を異なる複数の視点から表現するものという意味が含まれる。最初の三福音書は内容と構成の面で相似点が多く,相互に対照させて読めるため〈共観福音書〉と呼ばれる。

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大辞林 第三版の解説

ふくいんしょ【福音書】

イエスの言葉とおこないを記した文書。単なる伝記ではなくイエスの死の意味を問い、その生と受難、死と復活に力点をおく。新約聖書にはマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネによる四福音書が含まれる。なお、外典にはトマスによる福音書などがある。ゴスペル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

福音書
ふくいんしょ

「福音」とは「よい知らせ」のことであり、これにあたるギリシア語「エウアンゲリオン」は、『新約聖書』のなかで数多く用いられ、イエスの教えおよびイエスについての教えをさす。しかし「福音書」という場合には、とくにイエスの言行を記した一連の文書の名称になる。正典として認められている福音書は四つであるが、ほかにもいくつかの外典(がいてん)福音書が残されている。福音書記者たち自身によるこれらの文書の呼び方は一定しておらず、文学類型という意味での福音書が語られるようになるのは、2世紀以後である。今日では、これらはイエスの単純な伝記ではなく、史実を核としながらも、教団や福音書記者の神学に基づいて独自に構成されたものと考えられている。正典に取り入れられた四福音書は、それぞれマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの名前を冠せられているが、初めの三つは相互に密接な関係を保っており、「共観福音書」とよばれる。19世紀以来、その関係の仕方をめぐっていくつかの仮説が提起され、結局「マルコ伝福音書」がもっとも古く、他の二つの福音書は、これとイエスの語録集(Q資料)を利用したとする説が、広く承認されるに至った。[土屋 博]

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世界大百科事典内の福音書の言及

【聖書】より

…聖書はイスラムの聖典コーランのような一人物を通しての天啓の書物とは異なって,古代イスラエル民族と原始キリスト教の長い歴史の流れの中で多くの人々の手になった多様な文書を収めている。聖書は旧約聖書Old Testamentと新約聖書New Testamentから構成されているが,この区別と名称は2世紀になって初期の教会が福音書や書簡などを,イエス・キリストによる〈新しい契約〉を啓示する書物の意味で新約聖書と呼び,ユダヤ教から継承した聖典をこれと区別して〈古い契約〉(《コリント人への第2の手紙》3:14)の意味で旧約聖書と呼ぶようになったことに由来する。イエスをメシア(救世主)とは認めないユダヤ教では,キリスト教会によって旧約聖書と名づけられた文書が唯一の聖典である。…

【福音】より

…神が〈即位〉したことにより,平和,幸い,救いの支配する,それまでとは質的に異なる新しい時代が始まる,それがここでいう〈よい知らせ〉の内容である。 新約では〈福音〉は主として福音書(《ヨハネによる福音書》を除く)とパウロに出る。福音書ではそれはイエスの語った言葉の中で使われることが多いが,二次的に持ち込まれた場合が多く,彼自身がこの語を用いた確証はない。…

※「福音書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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