総・房(読み)ふさ

精選版 日本国語大辞典 「総・房」の意味・読み・例文・類語

ふさ【総・房】

[1] 〘名〙
① 糸や毛などで組んだ紐の一端を束ね、その先を散らし、花しべのようにしたもの。飾りとする。〔十巻本和名抄(934頃)〕
② 一茎に群がり生えて垂れ下がるもの。藤・萩・山吹などの花、また葡萄の実などにいう。
正倉院文書‐天平宝字二年(758)九月二七日・写経食料雑物納帳「橘九捄」
※枕(10C終)八九「ふさ長き藤」
③ 植物「あさ(麻)」の古語。〔古語拾遺(嘉祿本訓)(807)〕
④ ①②に似たもの。ふさふさした花しべのようなもの。また、垂れ下がって袋状をしたもの。乳房など。
小学読本(1873)〈田中義廉〉一「かし鳥は、頭に総あり」
[2] 〘副〙 (一)②のように、多くのものが群がり集まっているさまを表わす語。多く。たくさん。→ふさに
万葉(8C後)一七・三九四三「秋の田の穂向き見がてり吾が背子が布左(フサ)手折りける女郎花(をみなへし)かも」

ふさな・る【総・房】

〘自ラ四〙 多く群がり集まる。連なり並ぶ。一説、「房成る」で、すずなりになる。〔十巻本和名抄(934頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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