羽田五郎(読み)はねだ・ごろう

朝日日本歴史人物事典 「羽田五郎」の解説

羽田五郎

室町後期の塗師。茶道具の塗師の最古の人とされ,黒棗や「羽田盆」と称する黒漆塗四方盆の創始者といわれる。その作は居所にちなんで「法界門塗」と呼ばれる。江戸時代の茶道指南書『茶道筌締』には村田珠光の時代,奈良の人とあるが奈良には法界門の称はなく,京都相国寺の法界門の門前住人の誤りである。同所での羽田姓の塗師の活動は『蔭涼軒日録』にも現れているが,「五郎」の実体は羽田以外を含む門前の塗師たちを基にした伝説上の人物かとみられる。当時は茶道具の国産化が進んだ時期で,禅林への出入りを通じて意匠,技術を開発し,いち早く京中の士庶へも供給したのが法界門の塗師達であった。<参考文献>小池富雄「法界門塗の検討」(『金鯱叢書』11集)

(小池富雄)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「羽田五郎」の解説

羽田五郎 はねだ-ごろう

?-? 室町時代漆工
棗(なつめ)形の茶器の創始者といわれ,羽田盆も有名文明(1469-87)のころ京都相国(しょうこく)寺の法界門付近にすんだという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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