脂質代謝異常症、糖蛋白代謝異常症、ムコ多糖症

内科学 第10版 の解説

脂質代謝異常症、糖蛋白代謝異常症、ムコ多糖症(代謝性疾患)

 ここでは神経症候を中心に述べる.ライソゾームは膜で包まれた細胞内小器官の1つで,水溶性の酸性加水分解酵素を含み,高分子を制御しながら消化している.これらの加水分解酵素は,小胞体で前駆体が生合成され,Golgi体でマンノース6-リン酸(M6P)が付加された後,輸送小胞の受容体に結合してライソゾームに運ばれ,活性化因子や安定化蛋白質の作用により酸性下で酵素活性を示す(図15-10-1).これらの酵素の遺伝的異常によりその基質がライソゾーム内に蓄積して起こるのがライソゾーム病である.蓄積する物質により,脂質代謝異常症,糖蛋白代謝異常症,ムコ多糖症などに分類される.日本で90症例以上の報告があるのは,脂質代謝異常症のGaucher病とFabry病,ムコ多糖症のHunter症候群である.また,脂質代謝異常症ではGM1・GM2ガングリオシドーシスが次に多く,Niemann-Pick病C型,Krabbe病,異染性白質ジストロフィが続く.糖蛋白代謝異常症ではI-cell病,ガラクトシアリドーシス,ムコ多糖症ではSanfilippo症候群,Hurler/Scheie症候群が比較的多い.[宮嶋裕明]
■文献
Peroxisomes & Lysosomal enzymes. In: The Metabolic and Molecular Bases of Inherited Disease, 7th ed(Scriver CR, Beaudet AL, et al eds), pp2287-2882, McGraw-Hill, New York, 1995.
Genetic diseases of the CNS. In: Merritt’s Neurology, 12th ed (Rowland LP, Pedley TA, eds), pp614-632 & 646-650, Lippincott Williams & Wilkins, New York, 2009.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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