腎血管性高血圧(読み)じんけっかんせいこうけつあつ(その他表記)Renal vascular hypertension

六訂版 家庭医学大全科 「腎血管性高血圧」の解説

腎血管性高血圧
じんけっかんせいこうけつあつ
Renal vascular hypertension
(循環器の病気)

原因は何か

 腎動脈が狭くなることで、腎臓からレニンというホルモンが分泌され、引き続いて強力な昇圧物質であるアンジオテンシンⅡがつくられることにより高血圧になります。頻度は全高血圧の1%程度です。

 狭窄(きょうさく)原因としては、中高年に多い動脈硬化によるものが3分の2で、残りは比較的若年者にみられる線維筋性異形成(せんいきんせいいけいせい)塞栓、大動脈炎などによるものです。

症状の現れ方

 特徴的な臨床症状には乏しく、本態性高血圧との区別は症状だけでは困難です。しかし、家族歴のない若年発症の高血圧、中高年での突然の高血圧発症や急速な血圧コントロール不良、急速な腎機能悪化、腹部での血管雑音などの症状がある時は、本症が疑われます。

検査と診断

 詳細な問診、狭窄部位での血管雑音の聴取レノグラムシンチグラフィ、安静時および刺激時でのレニン活性高値、血管造影による狭窄の確認、腎静脈血レニン活性の測定により確定診断します。実際に本症と診断されるのは、腎血管病変の治療後に、血圧が正常にもどったことを確認することによります。

治療の方法

 治療法は症例により適宜選択されますが、まず試みられるのはバルーンカテーテルによる経皮経管(けいひけいかん)腎血管形成術です。とくに線維筋性異形成では治療成績もよく、第一選択になります。動脈硬化によるものは拡張後の再狭窄が問題になっていましたが、ステント筒状器具)の留置が可能になってからの成績はよくなっています。また、外科的治療(バイパス手術や自家腎移植)が行われることもあります。

 これらの治療ができない場合は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬を中心に薬物治療が行われます。

病気に気づいたらどうする

 経皮経管腎血管形成術の進歩薬物療法により、予後は著しく改善していますが、気づかずに放置していると重い合併症が起こりやすくなります。他の二次性高血圧でも同じですが、早期発見が重要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

栄養・生化学辞典 「腎血管性高血圧」の解説

腎血管性高血圧

 腎血管性高血圧症ともいう.腎動脈の病変が原因となって生じる高血圧.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

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