朝日日本歴史人物事典 「西宮新六」の解説
西宮新六
宝暦(1751~64)ごろから文政末年ごろまで営業した江戸の地本問屋。家号は春松軒。天明(1781~89)以降,店は本材木町。寛政6(1794)年に式亭三馬の処女作黄表紙『天道浮世出星操』を出版し,以後三馬作品を多数刊行した。中でも,火消し人足の喧嘩に取材した黄表紙『侠太平記向鉢巻』(1799刊)は,板元が,怒った人足たちの打ちこわしにあい,三馬と共に奉行所の処罰を受けたことで有名。また,合巻形態の推進力ともなった三馬作『雷太郎強悪物語』を文化3(1806)年に刊行し,評判をとった。ほかに十返舎一九の作品や浄瑠璃本,絵草紙などもある。子息(1799~1858)は三馬の門人で楽亭西馬,福亭禄馬などと号し,戯作や俳優の代作をなしたという。
(安永美恵)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報