政治的反対勢力の政治活動を阻害,あるいは根絶するために,政治的支配層が国家権力(軍隊,警察,裁判所など)を行使すること。一般に支配層はあらゆる機会をとおして被支配層を馴化(じゆんか)しようとするものであるから,いかなる政治体制にあっても,反体制勢力の政治的影響力を抑止するためにさまざまな支配技術を用いる。したがって,その影響力が制度的に保障されている限りにおいては,教育,宣伝,説得などによる統合を試みるが,体制存立の基礎を否定するような政治的勢力の登場や戦争などの危機に際して,支配層はその体制を維持するために直接的に暴力を行使する。その場合,支配層は体制保持のために,治安の維持,公共の福祉などの名目においてみずからを正当化し,反体制勢力は社会的悪として疎外される。ビスマルクによる社会主義者鎮圧法(1878)はドイツの社会主義運動に対する弾圧の意図表明であり,ソビエトでの大粛清はスターリンにとって潜在的脅威となる共産党員に対する予防弾圧であった。
弾圧はその被害をこうむる側に打撃を与え,分裂を誘うこともあるが,その反面,被弾圧者全体の団結を強め,地下運動など非合法な運動を誘発し,支配の動揺を深めることになりがちである。いずれにせよ弾圧がなされる社会状況は,全般的にみれば社会全体での価値の再配分が要請されている局面であり,支配層の弾圧による価値剝奪も一時的効果を有するにすぎない。その意味では,弾圧と同時に部分的価値付与のような補完的手段を伴うことも多い。たとえば,ビスマルクは社会主義者鎮圧法による弾圧のかたわら社会保険諸立法(1883以降)による懐柔策を採ったが,F.メーリングはこの政策を〈飴と鞭〉と表現している。
執筆者:下斗米 伸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…自我の防衛機制のなかのもっとも基本的なものであり,他のすべての防衛機制の前提である。抑圧は〈禁圧(抑制)suppression〉と違って,その過程それ自体も無意識的である。すなわちある観念や衝動をこれは良くないと意識的に考えて抑えつけるのではなく,その観念や衝動が心の中に存在していることそれ自体が否定される。…
※「弾圧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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