朝日日本歴史人物事典 「鞍部司馬達等」の解説
鞍部司馬達等
6世紀に活躍した渡来人で鞍部氏の祖先。按師首達等,案部村主司馬達等とも書く。多須奈の父。仏師として知られる鳥(止利)の祖父。敏達13(584)年に蘇我馬子に遣わされ,池辺氷田と共に仏教修行者を求め,播磨国(兵庫県)で還俗僧恵便を得た。娘の島を出家させて善信尼とし,弟子の尼ふたりと一緒に衣食を供し,恵便のもとで修行させた。馬子が仏殿を作り弥勒石仏を安置し大会設斎したとき,達等は不思議な力を持つ舎利を斎食のうえに得たので,馬子,氷田,達等は,ますます仏法を信じ修行したという。『扶桑略記』には,達等が継体16(522)年に来日し,坂田原(奈良県明日香村)の草堂で仏像を礼拝していたと記すが,渡来の年次は信じがたい。
(松木裕美)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報