朝日日本歴史人物事典 「風月庄左衛門」の解説
風月庄左衛門
生年:元禄14(1701)
寛永期(1624~44)から明治まで営業した京都の大書肆の宝暦から明和(1751~72)期の主人。名は重淵。号は一斎。沢田氏。庄左衛門は代々の称。書肆の堂号は風月堂。風月堂は初代の宗智(宗知)以来,儒書,医書,日本の古典など,学術書を中心に幅広く板行した。重淵は儒学者で,岡白駒や当時の文人と交わり,特に白話小説を好んだ。自身の訓訳本に『小説粋言』(1758)などがある。明和9(1772)年から安永2(1773)年の当主の日記『風月庄左衛門日暦』(『弥吉光長著作集』3巻に翻刻)が存し,書肆活動の実態や,退引後の一斎の姿を伝えている。<参考文献>森潤三郎「書肆の大家」(『考証学論攷』),森銑三「沢田一斎」『江戸時代の人々』)
(安永美恵)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報