馬乗袴(読み)うまのりばかま

精選版 日本国語大辞典 「馬乗袴」の意味・読み・例文・類語

うまのり‐ばかま【馬乗袴】

〘名〙 乗馬のとき身につけるはかま。襠(まち)を高く、すそを広く作ったもの。明治以後、行灯袴(あんどんばかま)ができてからは、深く襠を入れた袴をいうようになった。馬袴。馬乗り。〔随筆貞丈雑記(1784頃)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「馬乗袴」の意味・わかりやすい解説

馬乗袴
うまのりばかま

襠有(まちあり)袴ともいう。紋付羽織と組み合わせて、男子の礼装に使用する袴。布地は仙台平(せんだいひら)、夏には絽(ろ)を用いる。片足は後ろ布、刳(くり)のある後ろ襠と前襠、奥布、脇(わき)布とによって構成され、前は足の甲がつかえず足さばきのよいように5~6センチメートルの切上げをつける。後ろは後ろ幅の位置から後ろ襠まで、前は脇布、奥布の間で自然に斜めになるように切上げをつける。襠布の用い方によって、十布遣襠有袴、半十布遣襠有袴、八布半遣襠有袴、八布遣襠有袴などがある。普通の体型には八布半遣襠有袴、肥満体には十布遣襠有袴が使用される。近年は形よくはきよい袴として、半十布遣襠有袴が主として用いられている。

[藤本やす]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の馬乗袴の言及

【袴】より

…(12)踏込(ふんごみ)野袴の,裾のごく細いもので,江戸時代に着装された。(13)馬乗(うまのり)袴 馬に乗る必要から襠を高くし,裾をやや広く仕立てた袴で,緞子などで作り,ビロードの裾縁をつけたものや,裾縁をつけない縞の木綿などで仕立てたものもあった。江戸時代に武士が着用したものである。…

※「馬乗袴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android