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礼装 レイソウ

デジタル大辞泉の解説

れい‐そう〔‐サウ〕【礼装】

[名](スル)礼服を着用すること。また、その服装。「式典に礼装して出席する」

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世界大百科事典 第2版の解説

れいそう【礼装】

一般に冠婚葬祭の儀式典礼に際してのよそおいをいい,着用する衣服のことを礼服という。現今では洋装の場合フォーマルウェアformal wearともいう。儀式の軽重,公私,着用者の身分階級などによってその種類は非常に多い。すなわち儀式,着用者の種別によって,一定の型を備えた衣服であるということができよう。ただこの型が特殊な場合や特定の人に限られたような場合,たとえば葬儀のためだけ,特別な宗教的な儀式のもの,婚礼の式だけに用いられる服装というように,他への融通のまったくきかない型をもったものは,同じ儀式服ではあっても,ふつう喪服祭服婚礼衣装というように呼んで礼服とはいわない。

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大辞林 第三版の解説

れいそう【礼装】

( 名 ) スル
儀式に出るために着る正式の服装。また、それを着ること。 「 -して式典に臨む」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

礼装
れいそう

冠婚葬祭など、儀式に出席するための正式な服装をいう。[太田博子]

和装

礼装の本質は儀式を尊重し、敬意を表現することにある。礼装の形やしきたりは時代とともに変わってきた。明治、大正、昭和になってからも、礼装は大きく変化している。たとえば、明治には三枚襲(がさね)だった女性の礼装も、大正には二枚襲となり、昭和も第二次世界大戦後になると、ほとんどが白羽二重(はぶたえ)の付比翼(つけひよく)(袖口(そでぐち)、振り、衿(えり)の部分と、立褄(たてづま)、裾(すそ)回りに、下着を重ねて着ているように別布をつける)になっている。また、帯や帯締も、正式には丸帯、白丸絎(ぐ)けであったものが、最近は袋帯に金や銀の平打(ひらうち)帯締を多く用いている。しかし礼装には、まだ細かい約束ごとが多いので、どこで、何の目的で着るかを十分心得て着用する必要がある。礼装は、慶弔で異なり、公的なものから私的なものまでさまざまで、礼装そのものも一様でない。行事の軽重や内容に応じて、礼装、準礼装、略装を使い分ける。[太田博子]
慶事の場合

男子礼装
紋服といわれるもので、結婚式での新郎、仲人(なこうど)や、公式行事など格式ある場所に出席するときに着用する。黒羽二重染抜五つ紋付の長着と羽織に、仙台平(せんだいひら)の馬乗袴(ばかま)を着る。これは若者、年輩者に関係なく、明治初期から定着した。[太田博子]
男子準礼装・略装
羽織は黒羽二重染抜五つ紋付、長着は無地お召や紬(つむぎ)、袴は濃い無地の紬という組合せにすると、礼装に近いものになる。無地のお召や紬の三つ紋、一つ紋の縫い紋をつけた羽織に、対(つい)の長着、または無地か無地に近い縞(しま)や紋織の長着をあわせ、博多(はかた)献上、紬の無地の袴を着してもよい。略装の場合でも袴はかならずつけ、着流しにはしない。[太田博子]
女子礼装
もっとも格式ある装いは、染抜五つ紋付である。既婚者は留袖、未婚者は振袖を着用する。留袖は江戸褄(づま)ともいわれ、一越縮緬無垢(ひとこしちりめんむく)仕立てで、衿から下の裾に絵羽(えば)模様を染めたもの。黒地のものは黒留袖といい、既婚女性の第一礼装である。婚礼のときに仲人、母親、近親者が着用する。地色を黒以外の色に染めたものを色留袖というが、黒留袖と同格と考えてよい。披露宴に招かれたときや、公式行事などにも用いる。年齢の高い未婚者などにもふさわしい。振袖は一越縮緬や紋綸子(もんりんず)、緞子(どんす)など、地紋のある生地(きじ)を用いる。長着のなかでもっとも豪華なもので、袖丈により大振袖、中振袖、小振袖に分けられる。現在、大振袖は主として花嫁衣装に用いられ、主流は中振袖が占めている。結婚式や披露宴、成人式、謝恩会などの式典や改まった席で着用する。[太田博子]
女子準礼装・略装
色無地、訪問着、付け下げなどで、未婚・既婚の別はない。三つ紋、一つ紋をつけた色無地は、結婚式や披露宴、子供の入学式や卒業式、祝賀会、茶会など、礼装ほど儀式ばらない控え目な装いとして、範囲広く着られるものである。帯の取り合わせで、その場にふさわしい格が出せる。訪問着は略装として多く用いられるもので、紋はほとんどつけない。模様の置き方はさまざまで、色彩も豊富。色留袖に近い格のあるものから、おしゃれ着的なものまで範囲が広いので、目的にあったものを選ぶとよい。付け下げは訪問着に比べ、より略式になる。[太田博子]
弔事の場合

男子礼装・準礼装・略装
半衿、羽織紐(ひも)をねずみ色にかえるほかは、慶時のときに同じである。[太田博子]
女子礼装
染抜五つ紋付の黒無地喪服で、未婚・既婚の別はない。一般に関東では羽二重、関西では縮緬を用い、地紋のない生地が原則である。肉親や近親者の葬儀、初七日から三回忌までの法事に着用する。[太田博子]
女子準礼装・略装
三つ紋か一つ紋付の色喪服は、通夜、告別式、法要などに着用する。藤(ふじ)色、ねずみ色、紺、小豆(あずき)色、濃緑などの控え目で、落ち着いた色のものを用いる。地紋のないのが正式だが、吉祥紋様でなければ差し支えない。慶弔どちらにも適するものとして木目、流水、立涌(たてわく)、波、紗綾(さや)形などがある。黒紋付の羽織は、じみな色の無地、または無地に近い小紋やお召の長着の上に羽織る。色喪服より略式になる。なお男性同伴者があるときは、男性が和洋服いずれの場合でも、女性は男性の服装と同格のものを着用する。[太田博子]

洋装

洋装では、一般に冠婚葬祭などの改まった席で着用する礼服およびその服飾品を、フォーマルウエアformal wearとして日常着と区別している。
 本来、礼服は公的な儀式や祭典などの儀礼用の正装で、宮中で着用されるコート・ドレス(大礼服、中礼服)や、礼拝式などの宗教的行事に着る式服、軍人の儀礼服や学生の制服などをさし、セレモニアル・ドレスとよばれている。礼装は、正装(フル・ドレス)にあたり、性別、年齢、職種、階級、宗教などに規定されることが多いが、形のうえでは17世紀から18世紀にわたるルイ王朝時代の宮廷貴族の服装が、今日まで引き継がれている。婦人では宮中大礼服としてのマントー・ド・クール、大礼服のローブ・デコルテ(宮中では夜の中礼服)やローブ・モンタント(昼)があり、男子では昼間は大礼服、フロック・コート、モーニングコート、夜間では大礼服のほか燕尾(えんび)服、タキシードなどがある。マントー・ド・クールは今日では特別な宗教的儀式にしか着用されないが、ローブ・デコルテはイブニング・ドレスとして一般の正礼装に、ローブ・モンタントはアフタヌーン・ドレスの基本形として着用されている。
 一般の礼装は、冠婚葬祭や各種パーティーなどの私的な儀式に着用する正装にあたり、正礼装(フォーマル)、略礼装(インフォーマル)、準礼装(セミフォーマル)といった装いの基準がある。これらの基準は、時代の影響を受けて多くの変遷を経てきたが、今後もますます簡略化される傾向にある。明治以来、日本の礼装は、和洋の礼服が渾然(こんぜん)と着用されているが、両者には根本的な違いがある。つまり、和装は主として儀式の目的によって着分けられるが、洋装では儀式の時間によって着分けられる。たとえば和服の振袖(ふりそで)や留袖は、昼間でも夜間でも着ることができるが、洋装では同じ披露宴でも、その時間が昼か夜かによって、アフタヌーン・ドレス、ディナー・ドレス、イブニング・ドレスという区別が必要となる。ちなみに、今日流行の女子のインフォーマル・ドレス、男子のダークスーツやカクテルスーツは昼夜兼用の略礼装。礼装についてたいせつなのは、着用のTPO(時、所、場合)を心得て、その約束事である装いの基準を知ったうえで、現代の生活にあわせて簡略化することである。
 今日、日常の衣服は生活の近代化とともにますます軽快なものになり、流行も多様になっているが、時代の影響を受けて、礼服もますます簡略化、多様化してきている。袖なしのドレス、ショート・イブニング・ドレスといった服型の変化ばかりではなく、生活方式の変化から、カクテル・ドレスやファンシー・タキシードのような準礼装が多くなった。流行を反映して、女子のパンタロンやパンツ・スタイル、あるいはレイヤード・ルックやコーディネート・ルックなどを取り入れた合理的なデザインも登場している。[平野裕子]

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