駈込訴(読み)かけこみうったえ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「駈込訴」の意味・わかりやすい解説

駈込訴
かけこみうったえ

江戸時代における越訴(おっそ)の一つ。定められた手順を経ずに、直接上級領主や幕閣の館(やかた)に駈け込んで要求を訴えること。たとえば1767年(明和4)会津藩の支配を嫌った岩代会津郡田島村百姓は、幕府勘定奉行(かんじょうぶぎょう)安藤弾正少弼(だんじょうしょうひつ)方へ駈込訴を行い、また1779年(安永8)下総香取(しもうさかとり)郡篠原(しのはら)村百姓は、自領主の吟味不行届(ぎんみふゆきとどき)を幕府勘定奉行所へ駈込訴している。幕藩領主は非合法として、こうした訴えを禁じた。

[水本邦彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の駈込訴の言及

【越訴】より

…しかし,村役人が村の利益を代表して越訴することは17世紀の百姓一揆の特徴となり,18世紀にはいると惣百姓が直接に集団で越訴する強訴(ごうそ)が増加する。幕府は,1711年(正徳1)に巡見使への出訴,21年(享保6)に目安箱への箱訴を認めて越訴の特例をつくるとともに,徒党強訴をはじめ駕籠訴(かごそ),駈込訴(かけこみそ),捨訴(すてそ),張訴(はりそ)などの順を踏まない直訴行為を厳禁した。【深谷 克己】。…

※「駈込訴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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