髄液の産生・吸収と循環

内科学 第10版 「髄液の産生・吸収と循環」の解説

髄液の産生・吸収と循環(脳脊髄液検査)

(1)髄液の産生・吸収と循環
 髄液は脳室上衣,くも膜下腔をはじめ脳脊髄腔のあらゆる部位で産生されるが,主たる産生臓器は側脳室,第3脳室,第4脳室の脈絡叢である.髄液腔の容量は140~150 mLで,1時間あたり25~30 mLの髄液が産生されており,1日3~4回総量が入れ替わることになる.
 脈絡叢は腺構造をもち,脳室内で最も血管に富む組織である.産生された髄液は,側脳室,第3脳室,第4脳室を経て第4脳室側孔(Luschka孔,Lus­chka’s foramina)と第4脳室正中孔(Magendie孔,Magendie’s foramen)から脳室系を出て,脳脊髄表層のくも膜下腔を上行して脳表を流れ,硬膜下にあって静脈洞に突出しているくも膜顆粒(arachnoidal granulation)や,くも膜絨毛,軟膜毛細血管などから静脈系に入るが,そのほか脳脊髄神経周囲間隙,血管周囲腔,リンパ周囲腔などからも吸収される(図15-4-1).病的状態ではこの循環に種々の障害が認められることになる.[安東由喜雄]
■文献
Davson H, Welch K, et al: The Physiology and Pathophysiology of the Cerebrospinal Fluid, pp 247-267, pp 583-656, Churchill Livingstone, London, 1987.大石 実,他:神経内科臨床トレーニング.医学書院東京,1991

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

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