世界大百科事典(旧版)内のAnankēの言及
【オルフェウス教】より
…ゼウスの父クロノスKronosとは本来別の語であるが,その解釈として〈時間〉が提示されたとも考えられ,両者はしばしば混同される)が生まれた。それは牛とライオンの頭をもつ蛇で,胴には神の面があり,翼をつけた混成物で,その傍にはアナンケAnankē(〈必然〉)とアドラステイアAdrasteia(〈避けがたい復讐〉)が控える。クロノスから光(アイテルAithēr),カオス,闇(エレボスErebos)が,さらに男女両性具有の宇宙卵(オーオンŌon)が生じた。…
【運命】より
…すなわち,〈さだめられしモイラ(運命)なれば,神とても逃るるあたわず〉というのがたてまえではあったが,アポロンはクロイソスの運命を大幅に緩和したのであった(《歴史》)。このようにギリシア人の運命についての考えは,現代人から見ればあいまいだということになるだろうが,モイラの類似語で〈必然〉と訳されるギリシア語の〈クレオンchreōn〉や〈アナンケanankē〉の場合も事情は同じであって,〈ソクラテス以前の哲学者たち〉の用例を見ると,これらの語は絶対的必然性absolute necessityではなくて一定のきまり,規準を意味している。したがって,しいて必然という訳を与えるにしても,それはあいまいな意味での必然と見なすべきである。…
※「Anankē」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」