世界大百科事典(旧版)内のGefühlの言及
【感情】より
…ところが一方,そのように情動は生理的混乱の意識への反映であり無意味な意識現象だとする見方に対して,怒りやヒステリーの発作でさえ,順序だった行動によって対処しえぬ状況を避けようとするそれなりに意味のある行動(P.ジャネ),象徴的行動(S.フロイト),その状況を虚構的に変容しようとする魔術的行動(J.P.サルトル),つまりは意識の全体的な態度だと見る見方が提出されている。一般的に言って,passion(情熱),emotion(情動),Gefühl(感情)といった言葉がもともと〈運ばれる〉〈動かされる〉〈触れられる〉という受動的意味合いをもつことからも,これが受動的な心的現象であること,またわれわれの健常な意識がつねになんらかの感情的色づけを与えられていること,これは確かである。さらに,古代日本におけるように〈もののあわれ〉に知的認識などよりも深い世界開示の力を認める文化もあるし,ニーチェのように〈陶酔〉に根源的な芸術衝動を認める哲学者もおり,一般に芸術創作にあって感情が基本的役割を演じていることを思えば,感情にすぐれた開示能力のあることも確かである。…
※「Gefühl」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」