世界大百科事典(旧版)内のMukařovský,J.の言及
【詩学】より
…この活性化は,規範からの逸脱と関係があり,文学史におけるあらゆるテキスト,同時代の文学のあらゆるテキストとの相関において決定されるのである。この新しい枠組みの中で,ヤコブソンの詩的機能は言語学者・美学者ヤン・ムカジョフスキーJan Mukařovský(1891‐1975)の〈美的機能〉に発展し,発話の機能モデルが検討され,民俗学者・記号論学者のP.ボガトゥイリョフは民衆芸術(民衆演劇,民俗衣装)の機能構造的研究を残した。 ナチス侵攻を前にしてヨーロッパから北アメリカに脱したヤコブソンは,第2次大戦後,情報理論やパース記号論の諸概念を導入して構造詩学の定式化を行う。…
【チェコスロバキア】より
…1918年から92年まで続いた中欧の共和国。国名通称はチェコ語,スロバキア語ともČeskoslovensko。1920‐38年,1945‐60年の正式国名は〈チェコスロバキア共和国Českoslovká republika〉。1948年以後は社会主義体制をとり,60年からの正式国名は〈チェコスロバキア社会主義共和国Československá Socialistická republika〉。1969年よりチェコ社会主義共和国とスロバキア社会主義共和国の連邦制に移行したが,89年の〈東欧革命〉の進行過程で両共和国で連邦制の見直しが図られ,正式国名を〈チェコおよびスロバキア連邦共和国Česká a Slovenská Federativní Republika〉に変更した。…
【プラハ言語学派】より
…プラハ言語学サークル,プラーグ学派などとも呼ばれる。この学派の中心になったのはチェコ人のマテジウスVilém Mathesius(1882‐1945)とロシア人のR.ヤコブソンで,このほかにやや遅れてこの学派に加わったN.S.トルベツコイ,文芸理論で業績を残したムカジョフスキーJan Mukařovský(1891‐1975)や,フォークロア研究でのボガトゥイリョフPëtr Grigorievič Bogatyrëv(1893‐1971)らがいる。 この学派の理論的先駆者はボードゥアン・ド・クルトネとF.deソシュールで,前者の〈機能〉,後者の〈構造〉という概念を受け入れて,言語,文芸理論,フォークロアなどの分野でこの二つの基本概念から分析を行い,今日でも依然として価値のある業績を残している。…
【文学理論】より
… ロシア・フォルマリズムが革命後の社会において活動を制限されるにいたったとき,それを継承したのが1930年代のチェコの構造美学であった。この運動の中心となったムカジョフスキーJan Mukařovskýは〈異化〉の問題を,〈前景化〉と〈背景化〉の弁証法としてとらえなおした。彼によれば,文学の言語は,コミュニケーションを第一の目的とする日常の言語を背景として成り立つものであり,コミュニケーションの機能よりも媒体としての言語そのものの機能に注意をひきつけようとするものなのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」