世界大百科事典(旧版)内のpantomimusの言及
【パントマイム】より
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[パントマイム前史]
pantomimeという言葉は,その語源をさかのぼれば,古代ギリシア語のpantōs(すべて(に))とmimos(ものまね)の合成語pantomimosであり,この言葉自体は古代ギリシアの多くの文献に見ることができる。しかし,このような〈ものまね〉あるいは〈呪術的模倣所作〉とでも称すべきものは,周知のように,演劇一般の〈始源的形態〉にほぼ共通して見ることができる重要な一構成要素であり,そのようなものの一種として,古代ギリシアにおいては先のmimos(あるいはpantomimos)という言葉で表現される〈ものまね〉を中心とした座興的な雑芸(これを演劇史で〈ミモス劇〉などとも呼ぶ)が行われていたことは事実であるにせよ,それが今日のパントマイムに通じる一つの独立した芸能ジャンルであったとは言いがたく,演劇史では,ふつうパントマイムの起源を,古代ローマのパントミムスpantomimusに求めることが行われている。このパントミムスは,ギリシア期における前記の雑芸と比較するならば,その〈ものまね・身ぶり〉的要素が特に取り出されまた強調されて,一つの芸能ジャンルとなったものであり,紀元前後からおよそ5世紀の初めに至るまで,その卑俗性に対するキリスト教会の〈道徳的非難〉やトラヤヌス帝による禁止令等があったにもかかわらず,古代ローマの人々には大いに愛好されて,ピュラデスPyladesやバテュルスBathyllusをはじめとする優れたパントミムス俳優もあらわれた。…
【ローマ演劇】より
…女優が登場するのはミムスmimus劇(ものまね芝居)やきわめて後の喜劇ぐらいで,ごく限られたものであった。
[ローマ演劇のその後]
文学的な芝居は徐々に衰微していったが,ミムス劇やパントミムスpantomimus劇(せりふをまったくなくした黙劇。民衆的な雑芸として生き続け,今日のパントマイムにつながる)などはなおしばらく大衆の娯楽として続いた。…
※「pantomimus」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」