世界大百科事典(旧版)内のphenologyの言及
【花暦】より
…しかし清の花暦が伝来した江戸期以降は,これが身近な季節の指標として装飾美術や盛花に利用され,花札のような遊び道具,貝原好古編,同益軒補になる《日本歳時記》などに典拠した俳諧の季語,季題(歳時記)にも広く取り入れられ,庶民の季節感を醸成する素材となった。西洋でも近代以前は農事暦や時禱(じとう)書が使用され,その一部に花暦に近いものも活用されていたが,19世紀以後植物学の一分野として季節学phenology(花暦学ともいう)が成立してからは,植物の発芽・開花・結実と気候・季節の関連が科学的に探究され,明治期に日本へも紹介されている。毎年発表されるソメイヨシノの開花予想は,その成果の一端で,新しい花暦といえよう。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」