世界大百科事典(旧版)内のromanの言及
【小説】より
… この標準的な小説に対立するものとして,一方にロマンス,他方にアレゴリーないし寓意物語がある。ロマンスはもともと中世フランスの騎士道物語の名で,現代ヨーロッパ諸語で小説を〈ロマンroman〉と呼ぶもととなっているが,ここでのロマンスはそうした特定の歴史的形態を離れて,広く冒険,不思議,理想化された人物など,空想を自由にはばたかせた物語をいう。一方,アレゴリーは物語という形を利用しながら,実は何かの思想や観念など読者の知的興味に訴えるもので,ラブレーの《ガルガンチュアとパンタグリュエルの物語》やスウィフトの《ガリバー旅行記》などがその典型である。…
【物語文学】より
…斉一性を欠くことになるが,文学ジャンルの名称や区分は地方性をまぬかれがたい節があるからやむをえない。とにかく物語の方が上位の概念であり,したがって物語=物語文学とするこれまでの方式は事態を不当に単純化しすぎていることになる(あえて西欧語に移せば物語はnarrativeとかrécitに,物語文学はromanceとかromanに近いというべきか)。 この物語文学については,次のような特質を指摘できよう。…
※「roman」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」