世界大百科事典(旧版)内のsaisineの言及
【ゲウェーレ】より
…このため,〈装有〉とでも訳しえよう。それに相当する英語,フランス語の〈シージンseisin〉〈セジヌsaisine〉はともに〈把握〉が原意であり,装有と共通するものがある。 自然経済社会の法秩序では,人は自身の物を,動産では握り,不動産では収益する。…
【知行】より
…自分に知行すべき由緒があるのなら,証拠を添えて訴えよ〉という判決が下された例があるが,これは自力で権利の実現(知行の取戻し)を行う(自力救済)ことが原則上禁止されていたことのあらわれであって,上述した現行民法の占有訴訟が本権と切りはなして扱われたのと同じではない。 他方,知行は,権利と占有の未分離な所有形態を示す中世ドイツのゲウェーレGewere(フランスではセジヌsaisine)に似たものとする学説もある。たしかに上述の〈知行すべき由緒〉といういい方からもわかるように,知行の場合にも権利と占有は密着しているから,Gewereの体系と共通のものがみられるが,Gewereという言葉そのものは,国制上の一定の法的地位を表示するテクニカルタームであって,裁判においても,だれがその地位をもっているか,が問題にされるのに対し,知行は,〈職〉に伴う職務と権益を自分のものにする,という事実上の行為ないし状態を指す言葉で,自分のものにすべき対象(地位)たるGewereに対応するのはむしろ〈職〉であり,〈知行〉は〈Gewereをもつ〉の〈もつhaben〉に相当するといってもよい。…
※「saisine」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」