世界大百科事典(旧版)内のsalūspublicaの言及
【公共の福祉】より
…しかし,公共の福祉という語は,社会国家・積極国家としての福祉国家という性格を持つ現代の国家においては,国政ないし人権保障の指導理念として,しばしば用いられている。 もともと公共の福祉ないし〈公共の安全salūs publica〉の概念は,近代以前の警察国家,絶対主義国家としての福祉国家の時代に,権力が個人のいっさいの生活領域に介入する旗じるしとして用いられたものであった。したがって,絶対主義国家の否定のうえに成立した自由国家,消極国家においては,個人の権利自由こそが絶対的意味をもち,自由は〈他人の権利を害さないすべてをなしうる〉権利(フランス人権宣言4条)であり,そこで用いられた〈共同の利益〉〈一般の福祉〉等の概念は,個人を超越するものではなく,個人の絶対的権利といえども他人の権利を無視して行使しえないという制約を意味しただけであった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」