世界大百科事典(旧版)内のsubjectumの言及
【西洋哲学】より
…しかしここでも,そうした無規定的な個物の〈がある(ト・ホティ・エスティン)〉という存在が,〈である(ト・ティ・エスティン)〉という存在によって補われてはじめてまったき存在者になると考えられているわけであり,そこには二つの〈ある〉の不安定な葛藤がうかがわれる。この〈ヒュポケイメノン〉がラテン語ではsubjectum(下に投げ出されてあるもの)と訳され,〈シュンベベコス〉がaccidens(偶有性)と訳されて,〈基体‐属性〉というこのとらえ方は中世のスコラ哲学や,さらには近代哲学にもそのまま受けつがれてゆくのである。
【主観‐客観と主体‐客体】
〈ヒュポケイメノン〉のラテン訳であるsubjectumという言葉は,スコラ哲学や近代初期の哲学においては,それ自体で存在し,もろもろの作用・性質・状態を担う〈基体〉という意味で使われていた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」