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表象 ひょうしょうrepresentation; Vorstellung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

表象
ひょうしょう
representation; Vorstellung

(1) 外界に刺激が存在せずに引起された事物,事象に対応する心的活動ないし意識内容のことで,以前の経験を想起することにより生じる記憶表象,像の働きにより生じる想像表象などが区別される。刺激が現前せずに生じる意識内容という点で,幻覚なども表象の一つとされる。また場合により具体物に対する関係の程度に応じて心像観念とほぼ同義に用いられる。ただし刺激が現前した場合に生じる知覚像をも表象に含ませ,知覚表象の語が用いられることもある。 (2) 現在では特に思考作用にみられるように,種々の記号,象徴を用いて経験を再現し,代表させる心的機能をさす。この場合は代表機能の語が用いられることが多い。

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デジタル大辞泉の解説

ひょう‐しょう〔ヘウシヤウ〕【表象】

[名](スル)
象徴。シンボル。また、象徴的に表すこと。「解放された精神を表象する造形」
哲学心理学で、直観的に心に思い浮かべられる外的対象像をいう。知覚的、具象的であり、抽象的な事象を表す概念理念とは異なる。心像。

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百科事典マイペディアの解説

表象【ひょうしょう】

ラテン語repraesentatio(〈再現前化〉,〈代理・代行〉の意)に由来する英語representation,ドイツ語Vorstellungなどの訳。広義には観念一般,心像(イメージ)一般を意味しうるが,通常は知覚感覚と区別して,再生心像による対象意識を指す。
→関連項目五段教授法想像力

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世界大百科事典 第2版の解説

ひょうしょう【表象】

表象は,哲学や心理学の領域で,主としてドイツ語のVorstellung,英語のrepresentation,フランス語のreprésentationの訳語として用いられる言葉であるが,広狭さまざまな外延をもつ。もともとVorstellungは,18世紀にC.ウォルフによって英語のidea(ロックの用語)の訳語として,次いでカントによってラテン語のrepraesentatioの訳語として使われはじめた言葉であるから,当然表象にも,もっとも広い意味として,感覚印象から非直観的な概念表象までをも含む観念一般という意味がある(この意味についてはカント《純粋理性批判》第2版を参照)。

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大辞林 第三版の解説

ひょうしょう【表象】

〘哲〙 感覚の複合体として心に思い浮かべられる外的対象の像。知覚内容・記憶像など心に生起するもの。直観的な点で概念や理念の非直観作用と異なる。心像。観念。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

表象
ひょうしょう

一般に心または意識に現前するものを意味する。通常は、representation(英語)、reprsentation(フランス語)、Vorstellung(ドイツ語)の訳語として使われる。英語、フランス語の語源であるラテン語repraesentatioは「ふたたび(re-)現前せしめること(praesentatio)」を意味することからも明らかなように、「表象」の語は、少なくとも近世以後の用法においては、人間の「意識」の対象定立作用、反省作用に相関する対象の側面を指示する用語として使われる。
 いっさいを人間の意識に取り込んで考えようとする、近世のデカルト以来の意識内在主義的、主体主義的哲学は、カントを受け継いで世界のいっさいを人間意識の表象に解消させるショーペンハウアーの「意志と表象としての世界」の哲学から、さらにそれを受けて、同じく世界のいっさいを権力意志による解釈の産物とみなすニーチェの「遠近法主義」の哲学において一つの頂点に達するとみることができる。この近世の人間中心主義的な主体主義の哲学、あるいは形而上(けいじじょう)学は、まさに、西欧近世の合理主義的技術文明の基盤をなすものにほかならない。しかし今日では、いっさいの事物を、人間意識の操作対象という側面からだけみることの一面性への反省が、さまざまな角度から現代哲学の主要テーマの一つとなっている。[坂部 恵]

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世界大百科事典内の表象の言及

【イメージ】より


[語義]
 ギリシア語のエイコンeikōnやファンタスマphantasmaに対応するラテン語のイマゴimagoに由来し,もともとは視覚的にとらえられたものの〈かたち〉を意味し,転じて諸感覚によってとらえられたものの心的表象を意味するようになった。また,写真や版画のように心的表象の物質化されたもの,想像の産物,夢想,白昼夢のように新しくつくり出された心的表象をもさす。…

【記憶】より

…〈ナポレオン〉という知識に〈1769年〉という知識をつけ加えても,彼の誕生の記憶にはならないのである。それでは,再生とは伝統的にいわれてきたようにできごとの〈表象〉や〈心像(イメージ)〉が出現することであろうか。しかしその際,もしそれらが意識の面前にある何ものかを意味するとすれば,そこでわれわれは表象や心像という実在物の現前に立ち会うことはできても,過去にあったできごとを思い起こすことにはならないであろう。…

【西洋哲学】より

…ホッブズやライプニッツは魂をsubjectumと呼んでいるが,それも感覚を担う基体という意味においてであり,そこには〈主観〉という意味合いはない。一方objectumという言葉も,字義どおりには〈向こうに投げられてあるもの〉という意味であり,中世や近代初期には,外部にある事物が心なり意識なりに投影され,いわば表象されてある状態を意味していた。たとえばデカルトがrealitas objectivaと呼ぶのは,観念として表象されてある事象内容のことであり,当時はむしろobjectumの方に〈主観的なもの〉という意味合いがあったのである。…

【想像力】より

…したがって,〈想像〉の語が日本でも古くから慣用されていたことが知られるが,しかしその語は,漢籍などでは〈旧故ヲ思イテ,以テ想像ス〉(《楚辞》)などと使われ,〈おもいやり〉や〈おしはかる〉ことを意味していたようである。それが,西周以来,初めて〈像〉(ラテン語でイマゴimago)の表象ないしその能力を意味するようになった。 こうした心的能力への注目は,西洋では古代ギリシアにまでさかのぼる。…

※「表象」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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