一時(読み)イチジ

デジタル大辞泉 「一時」の意味・読み・例文・類語

いち‐じ【一時】

時刻の名。→
ある短い時間。しばらくの間。天気予報では、予報期間の4分の1未満の時間、その現象が連続するときにいう。「都合により一時休業する」「曇り、一時雨」
過去のある短い時間・期間。かつて。「彼は一時大臣を務めたことがある」「一時はどうなるかと心配した」
その時だけ。その場かぎり。臨時。「一時の間に合わせ」
1回。「一時払い」
[類語](2ひとしきり一時ひととき一時いっとき少時暫時しばらくちょっと短時間短日月短時日一朝一朝一夕短いしば束の間時の間瞬く間見る間に刹那咄嗟とっさ半時寸陰一時的かりそめ寸刻寸時寸秒片時かたとき瞬時瞬間一瞬数刻たまゆら須臾しゅゆ電光石火はかないあっと言う間間髪をれず/(3過去以前かつ在りし日往年往時往日旧時昔日せきじつ昔時せきじ昔年せきねん往昔おうせき往古古昔こせきいにしえ古くそのかみ当時前前かねてかねがね何時か既往これまで従来従前し方先年当年一頃その節先に古来あらかじめ前以て年来旧来在来その昔太古千古大昔

いっ‐とき【一時】

わずかな時間。しばらくの間。暫時。「花の盛り一時」「一時小雨になった」
(「一時に」の形で副詞的に用いて)同時に。一度に。「客が一時に押しかける」
過去の、ある時。あるひととき。「一時は、どうなるかと思った」
昔の時間の単位で、今の2時間。ひととき。
[類語]少時暫時しばらくちょっと短時間一時いちじ一時ひととき一頻ひとしき短日月短時日一朝一朝一夕短いしば束の間時の間瞬く間見る間に刹那咄嗟とっさ半時寸陰一時的かりそめ寸刻寸時寸秒片時かたとき瞬時瞬間一瞬数刻たまゆら須臾しゅゆ電光石火はかないあっと言う間間髪をれず

ひと‐とき【一時】

しばらくの間。いっとき。「憩いの一時
過去の、ある時。いちじ。いっとき。「一時は栄華を誇った」「一時はやった歌」
昔の時間の単位。今の約2時間。いっとき。
[類語]ひとしきり一時いちじ一時いっとき少時暫時しばらくちょっと短時間短日月短時日一朝一朝一夕時間短いしば束の間時の間瞬く間見る間に刹那咄嗟とっさ半時寸陰一時的かりそめ寸刻寸時寸秒片時かたとき瞬時瞬間一瞬数刻たまゆら須臾しゅゆ電光石火はかないあっと言う間間髪をれず

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「一時」の意味・読み・例文・類語

いち‐じ【一時】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 少しの間。暫時。ひととき。いっし。
    1. [初出の実例]「雲色泉声尋洛東。一時賞翫感相通」(出典:本朝無題詩(1162‐64頃)八・秋日長楽寺即事〈藤原敦光〉)
    2. 「諸卒心を一にして、一時(イチジ)が間に責め落とす可し」(出典:太平記(14C後)九)
    3. [その他の文献]〔荀子‐正名〕
  3. その時だけ。かりそめ。
    1. [初出の実例]「アノときゃア一時(イチジ)のしゃれをやったのだ」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九)
  4. ある時。かつて。〔法華経‐序品〕
  5. その当時。同時代。当代。
    1. [初出の実例]「前御史大夫泉州別駕馬摠一時大才也」(出典:性霊集‐序(835頃))
    2. [その他の文献]〔後漢書‐班超梁瑾伝論〕
  6. 同時。また、一度。→一時に
  7. 時刻の名称の一つ。午前と午後とある。明治初期には「第」をつけ、「時」ではなく「字」を用いることが多かった。また、一時間をいう場合もある。
    1. [初出の実例]「第十二字より第一号改正議案の可否を決し、第一字より里数改定の評論を、且読み且論じ、〈略〉第四字一同退散せり」(出典:公議所日誌‐六・明治二年(1869)四月)
    2. 「午後一時米人カッセイ氏及び同寓三子と共にカタコンブ(即ち地下の旧墓地)を観る」(出典:航西日乗(1881‐84)〈成島柳北〉二月一日)

いっ‐とき【一時】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 昔の時間区分で、一日の十二分の一。今のおおよそ二時間。奈良・平安時代定時法では二時間、鎌倉時代以降の不定時法では季節により、また昼夜によって相違する。
    1. [初出の実例]「よりあひよりのき一時(トキ)(高良本ルビ)ばかりぞたたかふたる」(出典:平家物語(13C前)一二)
  3. 短い時間。ちょっとの間。暫時。
    1. [初出の実例]「朝廷になうては一ときもかなうまい人と云たぞ」(出典:玉塵抄(1563)九)
  4. ( 「に」を伴って、副詞的に用いる ) 同時。いちじ。
    1. [初出の実例]「と、いふをきっかけに、皆一時(イットキ)に〈略〉手当り次第にたたきたってはやす」(出典:滑稽本八笑人(1820‐49)四)

ひと‐とき【一時】

  1. 〘 名詞 〙
  2. しばらくの間。ほんのわずかの間。暫時。瞬時。いっとき。
    1. [初出の実例]「秋の野になまめき立てるをみなへしあなかしがまし花もひと時〈遍昭〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇一六)
  3. あるとき。そのとき。
    1. [初出の実例]「天に生まるる人の、あやしき三つの道に帰るらむ一時に思なずらへてけふながく別れたてまつりぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)松風)
  4. 昔の時間区分で、一日の十二分の一。今の約二時間。いっとき。

いっ‐し【一時】

  1. 〘 名詞 〙 ごく短い時間。わずかの間。たちまち。いちじ。
    1. [初出の実例]「メイヨウ ヲチヤスシ、アキ ixxi(イッシ)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「一時」の読み・字形・画数・意味

【一時】いちじ

その当座。ひと時。〔孟子、公孫丑下〕孟子、齊を去る。充、路に問うて曰く、~(こ)れを夫子に聞けり。曰く、君子は天を怨みず、人を尤(とが)めずと。(孟子)曰く、彼も一時なり。此れも一時なりと。

字通「一」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android