デジタル大辞泉 「当」の意味・読み・例文・類語

とう【当〔當〕】[漢字項目]

[音]トウタウ)(呉)(漢) [訓]あたる あてる まさに…べし
学習漢字]2年
仕事や任などにあたる。「当局当直当番担当
あてる。割りあてる。「充当抵当日当配当
あてはまる。道理にかなう。「当否穏当該当至当失当順当正当相当妥当適当不当
そうするのがあたりまえだ。「当為当然
その。この。問題の。「当時当日当社当地当人当方
今の。「当座当主当節当代
当選」の略。「当落
[名のり]まさ・まつ

とう〔タウ〕【当】

[名]
道理にかなっていること。理屈に合っていること。「を得た答え」
そのものに相当すること。「一騎千」
仏語。来るべき世。来世。当来
[連体]この、その、現在の、今話題にしている、などの意を表す。「劇場」「ホテル」「案件」

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精選版 日本国語大辞典 「当」の意味・読み・例文・類語

とうタウ【当】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ちょうどその事にあたること。ちょうどその時の問題の対象になっていること。→当の
    2. 道理にかなっていること。また、特定の条件にかなっていること。
      1. [初出の実例]「還付条件の当不当に至りては」(出典:朝日新聞‐明治三九年(1906)一一月一三日)
      2. [その他の文献]〔史記‐礼書〕
    3. 仏語。これから来ようとする世。当来。来世。
      1. [初出の実例]「已にも入れず、今も入れず、当にもはづれぬ」(出典:日蓮遺文‐神国王御書(1275))
    4. とうぎり(当限)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 名詞の上に付いて、この、その、現在の、さしあたっての、などの意を表わす。
    1. [初出の実例]「小笠原彌次郎長綱当奉公之処」(出典:上杉家文書‐(年未詳)(室町前)三月二九日・足利直義書状)
    2. [その他の文献]〔列子‐楊朱〕

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普及版 字通 「当」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

(旧字)當
13画

[字音] トウ(タウ)
[字訓] あたる・かなう・まさに

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
旧字は當に作り、(尚)(しよう)声。に堂(どう)・棠(とう)の声がある。は神明を迎える窓。上部の八は神気の下る形。田は田土。もと農耕儀礼を示す字であったと考えられ、新嘗(にいなめ)の嘗とも、字形の上で関係がある。嘗は旨に従い、旨は詣(いた)るの意。その詣る神を迎えることを首(けいしゆ)といい、金文に、「稽首」に「首」の字を用いる。〔説文〕十三下に「田、相ひ値(あた)るなり」とは、抵当の意であろうが、その意には古く典を用い、金文の〔(ほうせいき)〕に「格伯の田を典(てん)す」のようにいう。當ものちには「典当」の意にも用いるが、當は古くは嘗と通用することが多い。〔子、君子〕「先當(かつ)て賢ならば、子孫必ず顯(あら)はる」、〔子、性悪〕「當試(こころみ)(嘗試)に君上の勢を去らん」などの例がある。農耕では時宜によって祀ることが行われ、〔管子、宙合〕に「變に應じて失はざる、之れを當と謂ふ」とはその意であろう。時宜にあたること、それよりして時に当たり、所に当たる意となり、当面・順当・相当・当然・当為の意となったのであろう。

[訓義]
1. あたる、むかう、むきあう、あう。
2. かなう、つりあう、たぐう。
3. あたいする、ならぶ、なぞらえる。
4. ただしい、まさに~すべし、かならず、さだめて。
5. もし、あるいは、すなわち。
6. しちぐさ、典当。
7. そこ、杯の底。

[古辞書の訓]
名義抄〕當 マサニ・~スベシ・アタツル・ツカサドル・ツネ・マホル・ムベ・ムベナリ・マカス・マサシ・ソコ・ムカフ・アツ・カナフ・ナホシ・ハタ/句當 イヒアハス 〔立〕當 マホル・ベシ・ツカサドル・ソナヘナホシ・ツネ・マサニ・ソノカミ・コリマカス・スベシ・アツ・ウヘ・マサシ・ムベナリ

[声系]
〔説文〕に當声として鐺など二字を収める。声、嘗声の字にも、声義の関係をもつものがある。

[語系]
當・襠・tangは同声。襠(とう)は両襠衣、一は胸に、一は背に当たる。また袴襠は旁の開いた袴。(とう)に遮る意があり、李白の〔蜀道難〕「一夫關に當る」は「關を(さへぎ)る」意。その字はまた(とう)に作る。丁tyeng、貞tiengは声近く、丁は釘の頭。そのうつ音を丁という。鐺tangは鼓鐘をうつ音である。貞は貞問、卜して貞(あた)る意。嘗zjiangは當と通用することがある。黨(党)tangは同声。これらの字の間に声義の関係がある。

[熟語]
当意・当為・当下・当該・当官・当関・当眼・当期・当御・当胸・当局・当家・当月・当権・当言・当午・当口・当行・当国・当今・当罪・当事・当時・当室・当日・当初・当処・当職・当心・当世・当税・当夕・当千・当先・当選・当然・当前・当代・当地・当中・当朝・当直・当天・当途・当塗・当当・当道・当年・当否・当舗・当報・当務・当面当夜・当役・当陽・当膺・当来・当・当理・当梁・当令・当路・当鑪・当盧・当・当顱
[下接語]
允当・応当・穏当・過当・該当・敢当・幹当・勘当・均当・勾当・至当・失当・充当・順当・正当・相当・妥当・当・担当・丁当・当・的当・適当・典当・配当・必当・不当・別当・奉当・無当・郎当

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【当身技】より

…投げ技,固め技,当身技の3部門から成り立つ柔道の技術の一つ。当(あて),当身,当技(あてわざ)ともいう。…

※「当」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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