(読み)ミ

デジタル大辞泉 「身」の意味・読み・例文・類語

み【身】

《「」と同語源》
[名]
生きている人間のからだ。身体。「茂みにを隠す」「装飾品をにつける」
わが身。自分自身。「を犠牲にする」「だまっている方がのためだぞ」「の危険を感じる」
自分が何かをやろうとする心。誠心。「勉強にが入らない」
地位。身分。立場。「のほどをわきまえる」「家族を扶養する」「他人のになって考える」
皮や骨に対し、食べられる部分。肉。「魚のをむしる」「の小さなはまぐり
容器の、ふたに対して物を入れる部分。また、ふた付きの鏡などで、ふたに対して、本体のほう。
衣服のおくみなどを除き、胴体を覆う部分。身頃みごろ
刀の、さやに収まっている刃の部分。刀身。
木の、皮に包まれた部分。
10 身ぶり
「少し案じる―ありてうなづき」〈咄・鹿の子餅
[代]
一人称の人代名詞。わたし。それがし。中世・近世で用いられた上品でやや尊大な言い方。
「―が申すやうは」〈伽・三人法師
二人称の人代名詞。「お」「おん」に続けて用いられる。→御身おみ・おんみ
[下接語]赤身当たり身当て身脂身あら生き身・入り身・浮き身憂き身受け身後ろ身打ち身うつし身うわ大身おん影身片身肩身から変わり身黄身切り身黒身ささ刺し身差し身下身死に身白身親身しんみき身捨て身り身総身反り身立ち身作り身中身長身なま抜き身はだか肌身半身一つ身人身独り身不死身古身細身骨身本身前身三つ身き身四つ身寄り身我が身
[類語]からだ身体たい肉体ボディー肉塊ししむら骨身体躯たいく図体ずうたい肢体したい五体ごたい全身満身総身そうしん・そうみ人身じんしん人体生体

しん【身】[漢字項目]

[音]シン(呉)(漢) [訓] みずから
学習漢字]3年
〈シン〉
人のからだ。「身体身長護身焼身心身全身長身病身満身裸身
自分。わがみ。「献身自身修身
社会的な地位や立場。みぶん。「身上しんじょう・しんしょう身代出身前身独身保身立身
なかみ。物の本体。「銃身刀身
〈み〉「身軽身銭身近身分親身しんみ総身そうみ中身
[名のり]これ・ただ・ちか・のぶ・みる・む・もと・よし
[難読]文身いれずみ随身ずいじん正身そうじみ

む【身】

」の古形。「身代わり」「身ざね」など、複合語として用いられる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「身」の意味・読み・例文・類語

み【身】

  1. ( 「み(実)」と同語源 )
  2. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 人間、または他の動物のからだ。身体。肉体。
      1. [初出の実例]「日下江の 入江の蓮 花蓮 微(ミ)の盛り人 羨しきろかも」(出典:古事記(712)下・歌謡)
      2. 「人と向ひたれば、詞多く、身もくたびれ」(出典:徒然草(1331頃)一七〇)
      3. 「獅子は、〈略〉身の高さ五六尺、長さ一丈余ありて」(出典:尋常小学読本(1887)〈文部省〉六)
    2. 骨、皮に対して、人間や鳥、獣、魚、貝などの肉をいう。しし。ししむら。
      1. [初出の実例]「白虫の、みもなくて、やせがれていまだあり」(出典:古今著聞集(1254)二〇)
      2. 「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)大垣)
    3. その人のからだの意から転じて、その人自身。自身。特に他人に対して、おのれ自身をいう。
      1. [初出の実例]「其を取ると さわく御民も 家忘れ 身(み)もたな知らず 鴨じもの 水に浮き居て」(出典:万葉集(8C後)一・五〇)
    4. その人自身の有様、または位置。その人の立場。身の上。身のさま。
      1. [初出の実例]「倭文手纏(しつたまき)数にもあらぬ身(み)にはあれど千年にもがと思ほゆるかも」(出典:万葉集(8C後)五・九〇三)
      2. 「ヤレお前さんの身になったら嘸(さぞ)母親(おっか)さんに面目があるまいと」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一)
    5. その人自身が世に占める地位。その人自身の分限、程度。身分。分際。身のほど。
      1. [初出の実例]「身はしもながら ことの葉を あまつそらまで きこえあげ〈壬生忠岑〉」(出典:古今和歌集(905‐914)雑体・一〇〇三)
      2. 「指でもささば天子に弓引朝敵同前、身を知らぬ者や有るべき」(出典:浄瑠璃・嫗山姥(1712頃)一)
    6. 命あるからだ。生命。
      1. [初出の実例]「人恋ふとはかなき死にをわれやせむみのあらばこそ後も逢ひ見め」(出典:延喜十三年亭子院歌合(913))
      2. 「身終りて蛇に成りて」(出典:観智院本三宝絵(984)序)
    7. からだのこなし。身ぶり。恰好(かっこう)。また、声色などと同様に、見せ物としての身振りをもいう。
      1. [初出の実例]「酒屋は遠しと少し案(あんじ)る身(ミ)ありてうなづき」(出典:咄本・鹿の子餠(1772)炮祿売)
    8. 自分が何かやろうとする心。誠心。→身が入る身を入れる
    9. その人に関係のある者。その人の縁者。身内。また、自分の側に属する人。味方。また、博徒やくざの用語で、一家の者。
      1. [初出の実例]「幽王の親類をちかづけ身にせいで讒侫のわるいとをいあだになる者を信じてしたしうせらるるを」(出典:玉塵抄(1563)一六)
      2. 「親父も母も幼少(ちいさい)とき死去(なくな)りまして、他に身といふ者は一人もなし」(出典:人情本・春色玉襷(1856‐57頃)二)
    10. 衣服の袖(そで)、襟(えり)、衽(おくみ)を除き、胴体を覆う部分。身丈、身幅の大小により、本身、四つ身、三つ身、一つ身などという。身頃(みごろ)
      1. [初出の実例]「此裾には身前後左右四ケ各長一尺並びに左右の衽下二尺許を縹或はうす色にす」(出典:随筆・守貞漫稿(1837‐53)一五)
    11. 容器、外殻、外観などに対してなかみをなすもの。内容。実質。→実(み)
      1. [初出の実例]「文屋の康秀は、言葉はたくみにて、そのさま身におはず」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
    12. 刀剣の鞘(さや)の中におさまっている部分。刀身。「抜き身」
      1. [初出の実例]「やつめさす 出雲建が 佩ける太刀 黒葛(つづら)さは巻き さ味(ミ)なしにあはれ」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    13. 容器の蓋(ふた)に対して、物をいれる側。また、昔の鏡などのように蓋つきの器物で、蓋に対して本体の方。
      1. [初出の実例]「身は投げつとて、蓋のかぎり持て来たりけん法師のやうに」(出典:枕草子(10C終)八七)
    14. 木材で、樹皮の内側にある材の部分。「赤身」「白身」
  3. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙
    1. 自称。中世、近世において、男子がやや優越感をもって、自分をさしていう語。
      1. [初出の実例]「身はもとのふる知人ぢゃと云ほどに不縛してをいたぞ」(出典:漢書列伝竺桃抄(1458‐60)陳勝項籍第一)
    2. 対称。接頭語「お」「おん」を伴って、相手をさしていう語。→おみおんみ

む‐くろ【身・躯・骸】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「む」は「身」、「くろ」は「から(幹)」の変化したものか )
  2. からだ。身体。また、首や手足をのぞいた胴体の部分をいう。
    1. [初出の実例]「頭身(ムクロ)既に爛(たた)れて、姓字(かはねな)知り難し」(出典:日本書紀(720)崇峻即位前(図書寮本訓))
    2. 「かしらは猿、むくろは狸、尾はくちなは、手足は虎の姿なり」(出典:平家物語(13C前)四)
  3. ( 「骸」とも書く ) 死骸。なきがら。また、首を切られて胴体だけの死体
    1. [初出の実例]「たとひ頸はおつとも、むくろはひとつ席にふさんとこそおもひつるに」(出典:平家物語(13C前)一一)
  4. 朽ちた木の幹。

む【身】

  1. 〘 造語要素 〙 名詞「み(身)」に同じ意で、熟語の中で用いられる形。多く名詞の上に付いて使われる。「書紀‐斉明二年」の「田身、山名、此云大務(タム)」など、「身」を「む」にあてたことがわかる。「むくろ」「むかわり」「むざね」など。

しん【身】

  1. 〘 名詞 〙 からだ。身体。み。
    1. [初出の実例]「乃至眼耳鼻舌身意、根・識・塵等もかくのごとし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)自証三昧)

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