《非人敵討》(読み)ひにんのかたきうち

世界大百科事典(旧版)内の《非人敵討》の言及

【仇討物】より

敵討を主題とした文学・芸能の一系統。敵討物(かたきうちもの)ともいう。中世の謡曲,幸若から古浄瑠璃を経て,近世の歌舞伎,人形浄瑠璃や読本,実録,講釈,浪花節など,さまざまの分野で扱われ,重要な一系統を形づくっている。それらの基幹となったと思われるものは《曾我物語》を素材とした作品群で,早く謡曲に数々の〈曾我物〉を生み,この流れが幸若,浄瑠璃,歌舞伎に継承されて発展を見せた。歌舞伎における〈曾我物〉は格別の人気狂言で,享保以後江戸の劇場では毎年の初春狂言の世界を〈曾我物語〉とするのが吉例になった。…

【敵討襤褸錦】より

…1736年(元文1)5月大坂竹本座初演。寛文期(1661‐73)の初世荒木与次兵衛に始まり享保期(1716‐36)の初世姉川新四郎に継承された歌舞伎狂言《非人敵討(ひにんのかたきうち)》を浄瑠璃化したもの。備後藩中の春藤次郎右衛門・新七の兄弟が非人に身を落として父の敵をねらい,大和郡山で本懐を達するまでの経緯を描いた作品。…

【非人仇討物】より

…浄瑠璃・歌舞伎脚本の一系統。1664年(寛文4)ころに大坂の歌舞伎で上演された福井弥五左衛門作の二番続きの狂言《非人敵討(ひにんかたきうち)》に始まる仇討物の類型で,非人姿に身をやつした主人公が苦心の末に首尾よく本懐を遂げるという経緯を描くことに主眼をおいた作品の総称。とくに落ちぶれた主人公が,病気や手傷のために弱った体をかばいつつ,悪人を相手に悲壮な立回りを演ずるという典型的な〈手負い事〉の場面が作中最大の眼目とされている。…

※「《非人敵討》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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