改訂新版 世界大百科事典 「アシュモール」の意味・わかりやすい解説
アシュモール
Elias Ashmole
生没年:1617-92
イギリスの古物収集家。とくに錬金術文献収集の好事家で,《イギリス化学の展覧会堂》の編纂者として有名。15世紀のすぐれた錬金術的哲学者リプリーG.Ripleyの《錬金術式目》やノートンT.Nortonの《錬金術の合成》その他の詩編を収めたこの書は,1652年にロンドンで出版された。しかしすでに錬金術関係の〈賢者の石〉にまつわる書が,《化学展覧会堂》の名のもとに1602年ころフランクフルトで出版されており,アシュモールのものはいわばそのイギリス版といえよう。なお彼は,75年自己の収集品をすべてオックスフォード大学に寄付した。大学側はイギリス最初の公共博物館(アシュモーリアン・ミュージアム)を建ててそれらを収め,83年の開館以来,ますます内容が充実されて今日に至っている。
執筆者:大槻 真一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報