化学辞典 第2版 「アセチルアセトナト錯体」の解説
アセチルアセトナト錯体
アセチルアセトナトサクタイ
acetylacetonato complex, 2,4-pentanedionato complex
一般に,β-ジケトンの一つであるアセチルアセトン(2,4-ペンタンジオン)の,エノール形(acacと略記)を二座キレート配位子として金属(M)に配位した錯体の総称.正式には2,4-ペンタンジオナト錯体という.配位の形としては,
のように表すことができる.ほとんどすべての金属原子と錯体をつくり,金属原子によりアセチルアセトンが一つから四つついたものまである.Fe(acac)3のような分子性錯体をつくりやすく,このため,多くは昇華性のある固体で,有機溶媒に溶けやすい.空気に対して安定なものが多いが,なかには酸素と反応しやすく,不活性ガスのもとで取り扱わなければならないものもある.各種金属錯体,有機金属錯体の合成原料として使われる.3位の炭素と金属原子が結合した錯体も知られている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報