アセチルアセトン(読み)あせちるあせとん(英語表記)acetylacetone

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アセチルアセトン」の意味・わかりやすい解説

アセチルアセトン
あせちるあせとん
acetylacetone

ジケトンの一つ。2,4-ペンタンジオンともよばれる。アセトン酢酸エチルとを、ナトリウムアルコキシドなどの塩基の存在下で縮合させると生成する。

 無色、可燃性の液体ケト形エノール形の2種類の互変異性体の平衡混合物として存在することで有名である。

 水および種々の有機溶媒に溶ける。種々の金属イオンとキレート化合物を生成し、これらのキレート化合物は有機溶媒に溶けるので、キレート化剤や金属の溶媒抽出試薬として用いられる。このほかに、アセチルセルロース溶剤ガソリン潤滑油の添加物としての用途をもつ。

[廣田 穰]



アセチルアセトン(データノート)
あせちるあせとんでーたのーと

アセチルアセトン

 分子式  C5H8O2
 分子量  100.1
 融点   -23.2℃
 沸点   140.5℃
 比重   0.976(測定温度20℃)
 屈折率  (n)1.4512
 溶解度  16g/100mL水
 解離定数 Κ=1.58×10-9

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アセチルアセトン」の意味・わかりやすい解説

アセチルアセトン
acetylaceton

ジアセチルメタン,2,4-ペンタンジオンともいう。化学式は CH3COCH2COCH3 。無色可燃性の液体。沸点 139℃。β-ジケトンで,ケトエノール互変異性体として存在し,その平衡混合物中,遊離状態では約 70%,クロロホルム溶液では約 90%がエノール形をとる。エノール形は塩化第二鉄と反応して赤色を呈し,また多くの金属イオンと反応し,有機溶媒に溶けやすいキレート化合物をつくるので,金属イオンの抽出剤として分析に用いられる。水に 30℃で 15%,80℃で 34%溶ける。エチルアルコール,エーテル,クロロホルムに易溶。酸化すると酢酸を生じ,水酸化カリウムと加熱するとアセトンと酢酸に分解する。アセチルセルロースの溶媒,殺虫・殺菌剤,その他工業用に使われる。

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