アルキニル錯体(読み)アルキニルサクタイ

化学辞典 第2版 「アルキニル錯体」の解説

アルキニル錯体
アルキニルサクタイ
alkinyl complex

金属に-C≡CRがσ結合している錯体のうち,アルキニル基が陰イオンとして配位している錯体をいう.アルキン液体アンモニア中で塩基にプロトンを与え,みずからは陰イオンとなる.

この性質を利用して,液体アンモニアに溶けるチオシアン酸塩,硫酸塩シアノ錯体などから,アルキニロ錯体を合成する.代表的な錯体を次に示す.

K3[Cr(C≡CH)6](橙),K3[Mn(C≡CH)6](暗褐色),K3[Fe(C≡CH)6](暗紫),K4[Ni(C≡CH)4](黄)

また,-C≡CHのHがメチル基フェニル基と置換されたものも多数知られている.

M4[Fe(C≡CR)6](黄,反磁性),M4[Co(C≡CR)6](緑),M2[Ni(C≡CR)4](黄)

これらの錯体は,その製法,色,磁気的性質などが対応するシアノ錯体と酷似している.[別用語参照]非ウェルナー錯体

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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