硫酸塩(読み)りゅうさんえん(英語表記)sulfate

翻訳|sulfate

日本大百科全書(ニッポニカ)「硫酸塩」の解説

硫酸塩
りゅうさんえん
sulfate

硫酸の塩。一般式MI2SO4のような正塩。MIHSO4のような酸性塩のほか、種々の塩基性塩が知られている。天然には火成岩中に含まれることもあるが、多くは石膏(せっこう)、重晶石、硫酸鉛鉱などの風化生成物である。一般に金属、金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩などを希硫酸に溶かしてつくる。また、塩化物や硝酸塩などを硫酸と熱してつくる方法、三酸化硫黄(いおう)SO3と金属酸化物との直接作用、または硫化物を酸化するなどの方法もある。

 正塩は一般に無色の結晶。遷移金属の塩では多くが有色。多くの場合結晶水をもち、二価金属塩は普通六~七水和物であるが、銀、カリウムなどの塩は結晶水をもたない。熱すると含水塩は無水和物になり、さらに熱すると分解して酸化物となるが、かなり高温まで安定なものも多く、とくにアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩は安定である。バリウム、鉛の塩は水にほとんど不溶、カルシウム塩も水に溶けにくい。

 酸性塩は正塩に比べて一般に融点が低い。また、水溶液が酸性を示すものが多い。アルカリ金属塩は融解すると種々の化合物を溶かす性質があるので融剤として用いられる。可溶性硫酸塩は複塩をつくりやすく、モール塩やミョウバンなどはその代表例である。

[守永健一]

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精選版 日本国語大辞典「硫酸塩」の解説

りゅうさん‐えん リウサン‥【硫酸塩】

〘名〙 硫酸中の水素一個または二個全部が金属に置き換えられた化合物。〔舎密開宗(1837‐47)〕

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化学辞典 第2版「硫酸塩」の解説

硫酸塩
リュウサンエン
sulfate

M2SO4,MSO4.希硫酸に金属,金属酸化物,水酸化物を溶かすか,塩化物,硝酸塩,炭酸塩のような揮発性酸の塩を希硫酸と加熱すると得られる.無色の結晶で,水和水を有するものが多い.また,Fe(NH4)2(SO4)2・6H2O,AlK(SO4)2・12H2O,AlNH4(SO4)2・12H2O,CrK(SO4)2・12H2Oなど多数の複塩が知られている.バリウム塩は水にほとんど溶けない.ストロンチウム塩,鉛(Ⅱ)塩はきわめて溶けにくく,カルシウム塩も溶解度が小さい.そのほかはほとんど水に溶ける.アルカリ,およびアルカリ土類金属の塩は熱に対して比較的安定であるが,高温に熱すると三酸化硫黄を放って金属酸化物になる.このとき,炭素のような還元剤を加えておけば金属硫化物となる.S原子を中心とする正四面体型の硫酸イオンSO42-での原子間距離S-O0.149 nm,純粋なH2SO4結晶中のSO4四面体のS-Oは0.142,0.143,0.152,0.155 nm である.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「硫酸塩」の解説

硫酸塩
りゅうさんえん
sulfate

硫酸の塩の総称。正塩と水素塩 (酸性塩) がある。水素塩はかつて重硫酸塩ともいわれたが,化学構造からみて誤称。正しくは硫酸水素塩。一般式 MHSO4 。アルカリ金属のみについて知られている。水に易溶。いずれも加熱により水を失い,ピロ硫酸塩 M2S2O7 に変ることを特徴とする。ピロ硫酸塩をさらに加熱すると,三酸化硫黄 (無水硫酸) を放出して正塩に変る。正塩 M2SO4 は普通硫酸塩といわれるもので,多くの金属の硫酸塩は水に可溶である。ただし,アルカリ土類金属および鉛の硫酸塩は難溶である。一般に水溶性の塩は,リョクバン FeSO4・7H2O ,コウバン ZnSO4・7H2O ,タンバン CuSO4・7H2O のように結晶水を含むものが多く,またミョウバンのように錯塩が形成される場合もある。

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世界大百科事典内の硫酸塩の言及

【硫酸】より

…硫酸は強い二塩基酸であり希硫酸(希水溶液)中では第1段の解離はほとんど完全であり第2段の解離定数はK2=2×10-2(18℃)である。 H2SO4⇄H+HSO4 HSO4⇄H+SO42-希硫酸と金属との反応は一般にイオン化系列の水素よりも上位のものは水素を発生して溶解し硫酸塩を生ずる。熱濃硫酸の場合はH2SO4―→SO3+H2Oに解離し,このSO3による酸化力があるので銅や水銀などイオン化系列で水素より下位のものであっても二酸化硫黄SO2を発生して溶解し硫酸塩とする。…

※「硫酸塩」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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