改訂新版 世界大百科事典 「カントメーター」の意味・わかりやすい解説
カントメーター
quantometer
可視・紫外域における発光スペクトルや,X線蛍光スペクトルを利用した自動方式の多元素同時定量分析装置をいう。もともとはアメリカのARL(Applied Research Laboratory)社が開発した光電式発光定量分光分析装置につけられた商品名であるが,その後慣用的に普通名詞として用いられるようになった。可視・紫外域用のものは,分光写真器と写真感材を用いる発光定量分光分析の原理を光電測光法を採用して自動化したものである。分光写真器の焦点面の各元素の輝線スペクトル位置に,元素の数に相当する出口スリットと検出器の組を固定したもの(ポリクロメーターという)を検出部とし,試料を発光させて各輝線スペクトルの同時測光を行う。標準試料を用いて作った元素量と測光値間の校正曲線によって,コンピューターが各元素の分析値を出力する。蛍光X線用のものも構成素子は異なるが原理は同じである。カントメーターは短時間で高精度定量が可能であるため,金属や化学業界を中心に,現場管理分析に広く用いられている。
執筆者:南 茂夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報