ギリシア十字式聖堂(読み)ギリシアじゅうじしきせいどう(その他表記)church of Greek-cross plan

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ギリシア十字式聖堂」の意味・わかりやすい解説

ギリシア十字式聖堂
ギリシアじゅうじしきせいどう
church of Greek-cross plan

中央ドームが四方の等しい長さの支壁と,それに架かる半円筒ボールトによって支えられる構造をもつ聖堂。初期キリスト教の聖堂建築はバシリカを基本形態としているが,5世紀頃よりこのバシリカ式聖堂の中央部にドームを配するドーム式バシリカ聖堂が建造されるようになった。しかしドームは元来集中式の建築を予想するものでバシリカの架構とは矛盾するところが多い。そのため7世紀頃より中央ドームを四方から集る4つの半円筒ボールトと,その支壁によって支えるより安定した構造が考案されるにいたった。ギリシア十字式聖堂の名称は,この4つの半円筒ボールトと支壁がギリシア十字形の平面をつくるため生じたものである。5~8世紀の建造に成るセサロニキハギア・ソフィアは,ドーム式バシリカからギリシア十字式聖堂への移行を示す建物であり,9世紀のボエオチアのスクリプー聖堂ではこの形式がほとんど完成をみる。その他の代表例は,イスタンブールのミレライオン修道院礼拝堂 (現ブードルウム・ジャーミ) ,11世紀アテネの聖使徒聖堂,聖テオドロス聖堂,カプニカレア聖堂,13世紀セサロニキのテオトコス聖堂 (現カザンジラール・ジャーミ) など。

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