化学辞典 第2版 「クエン酸アンモニウム鉄」の解説
クエン酸アンモニウム鉄(Ⅲ)
クエンサンアンモニウムテツ
ammonium iron(Ⅲ) citrate
クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムともいう.水酸化鉄(Ⅲ)をクエン酸水溶液に溶かし,アンモニア水で中和した後に60 ℃ 以下で濃縮すると得られる.形式的にはFe(NH4)2H(C6H5O7)2と書かれることがあるが,実際には組成にかなり幅がある.普通みられるものには,深赤褐色のりん片状または褐色粉末のものと,緑色りん片状または粉末状のものとの2種類があり,それぞれのFe,NH4,クエン酸の組成がやや異なる.いずれも水に可溶.水溶液は FeⅢの反応を示す.光に敏感で,光にさらすと FeⅢ→ FeⅡに還元される(緑色種のほうが光に敏感).これを利用して,青写真に利用されるほか,医薬品として貧血患者の鉄分補給用に用いられることもある.[CAS 1185-57-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報