化学辞典 第2版 「クロロビスマス酸塩」の解説
クロロビスマス酸塩
クロロビスマスサンエン
chlorobismuthate
次の3種類のビスマス(Ⅲ)酸塩が知られている.ビスマス(Ⅴ)の酸(塩)は知られていない.【Ⅰ】テトラクロロビスマス(Ⅲ)酸塩:MⅠ[BiCl4].アルカリ塩は,三酸化二ビスマスBi2O3を,濃塩酸に溶かし,塩化アルカリを加え,濃縮すると得られる.無色の結晶.K2[BiCl4]・H2Oは針状結晶で,八面体型の[BiCl6]が1稜の2個のCl原子を共有して鎖状につながった構造をもつ.【Ⅱ】ペンタクロロビスマス(Ⅲ)酸塩:MⅠ2[BiCl5].アルカリ塩は,三塩化ビスマスBiCl3を塩化アルカリ水溶液に加え,濃縮すると得られる.無色の結晶.K2[BiCl5]は吸湿性の結晶で,2.5水和物(板状晶)も得られている.【Ⅲ】ヘキサクロロビスマス(Ⅲ)酸塩:MⅠ3[BiCl6].アルカリ塩は,BiCl3の塩酸水溶液に過剰の塩化アルカリを加えると得られる.無色の結晶.八面体型の六配位の [BiCl6]2- を含む.MⅠ = NH4,Na,K,Rb,Csなどの塩や,NaRb2[BiCl6]のような混合塩も得られている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報