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結晶 けっしょう crystal

翻訳|crystal

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

結晶
けっしょう
crystal

原子,分子,あるいはイオンが規則正しく配列している固体。特定の結晶面を表面とする多面体である場合が多く,その対称性によって7種の結晶系に,さらに詳しくは 32種の結晶族に分類される。結晶内の原子配列は結晶構造呼ばれるが,X線回折 (特別な場合は電子回折中性子回折 ) によって決定され,その対称性によって 14種の空間格子に分けられ,さらに詳しくは 230種の空間群に分類される。

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デジタル大辞泉の解説

けっ‐しょう〔‐シヤウ〕【結晶】

[名](スル)
原子分子イオンなどが規則正しく立体的に配列されている固体物質。日常的には単結晶をさすが、多結晶をさすこともある。「雪の結晶
ある事柄が積み重なり、他のある形をとって現れること。「愛の結晶」「日々の努力が結晶する」

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百科事典マイペディアの解説

結晶【けっしょう】

均質の固体で規則正しい原子配列(結晶構造)から成り立つもの。規則正しい結晶形をもつものが多く(これを結晶と呼ぶこともある),その形は簡単な対称法則により律せられ,対称要素組合せにより6の結晶系,32の対称族に分類される。
→関連項目完面像結晶学結晶光学結晶格子結晶水固体三斜晶系

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岩石学辞典の解説

結晶

均質で一般に固体の物体で,空間的に周期的に繰り返す規則的な原子配列をもつもの.空間格子構造をもち,結晶面は普通は内部の秩序構造の外部的な表現として観察される[Bragg : 1928, Wright : 1916].

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栄養・生化学辞典の解説

結晶

 原子や分子が空間的に規則正しく配列している固体の状態.

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世界大百科事典 第2版の解説

けっしょう【結晶 crystal】

水晶の結晶が六角柱の形をとることはよく知られている。しかし,結晶には必ずしも,このような規則正しい外形をとらないものも多く,結晶の本質は次に述べるようなそれが示す性質に関連している。 自由に選んだ一つの方向においての物質のある性質の測定値が,その物質中のすべての点で互いに等しいとき,その物質は均質であるという。その性質の測定値をベクトルで表せば,物質が均質であることは図1のように示される。物質の内部の任意の点Oにおいて,ある性質の測定値(例えば電気伝導度の値)が,図2のaやbのように方向によって異なるとき,その物質はその性質について異方的であるといい,cのようにそれが方向に無関係に一定しているとき,等方的であるという。

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大辞林 第三版の解説

けっしょう【結晶】

( 名 ) スル
原子あるいは原子団・分子・イオンが空間的に規則正しく配列した固体。
積み重ねられた努力などが一つの形をとってあらわれること。また,そのもの。 「愛の-」 「長年の努力が見事に-する」 〔この語は宇田川榕庵うだがわようあん「植学啓原」(1833年)にあり,メドハーストの英華字典(一八四七~一八四八)にも載る。「英和対訳袖珍辞書」(1862年)に crystallization の訳語として「結晶物」と載る〕

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

結晶
けっしょう
crystal

物質の固体における存在状態の一つ。外見上は、平滑な多角形の面が鋭い稜(りょう)によって組み合わされた多面体となる。微視的には、その物質を構成する原子、分子、イオンなどが三次元的に周期性のある配列をとることが特徴である。三次元的配列の規則性は空間格子(結晶格子)とその対称性によって幾何学的に表現され、その規則性のために光学的性質、機械的性質、電気的性質、磁気的性質などの物理的性質が結晶内の方向によって異なる、つまり異方性を示すことも結晶の特徴である。ガラスのような物質にはこのような結晶としての特徴はなく、非晶質とよばれて結晶とは区別される。
 肉眼では結晶としての外見上の特徴が観察されない粉末であっても、顕微鏡ではそれが観察されることもある。1個の結晶が結晶格子と同じ軸方向の性質を示すものを単結晶single crystalという。実際の結晶では、さまざまな配向の単結晶が凝集して1個の結晶になっているものがあり、これを多結晶polycrystalという。単結晶であっても、このような構造の乱れは小規模に存在していると考えられている。高分子やガラスのような非晶質でも、部分的には結晶構造をもつことが多く、固体の存在状態としては結晶になるほうが安定であると考えられている。古いガラスでは部分的に結晶化が進行してその部分が失透し、ガラス特有の粘性が失われて、もろくなることがある。
 液体であっても、その構成分子の形が棒状や板状であると、それらの分子が規則的に配向して、結晶のような諸性質の異方性を示すことがあり、そのような液体を液晶という。[岩本振武]

球体の充填

高温度では液体や気体になっている物質が温度の低下によって結晶化するのは、その物質の構成粒子の運動エネルギーが温度の低下によって小さくなり、粒子間の引力の効果のほうが大きくなるからである。したがって、結晶化の際には、原子、分子、イオンなどの構成粒子は、なるべく空隙(くうげき)を小さくするように凝集する。
 これらの粒子のもっとも簡単なものは原子であり、貴ガス(希ガス)や金属元素の単体の結晶は同寸法の剛体球が凝集したものと考えることができる。平面上に剛体球をなるべく空隙が小さくなるように並べると、1個の球がそれぞれ6個の球に囲まれる配列となる。[岩本振武]

最密構造

この球の層を順次積み上げると三次元の最密構造が得られる。いま第1層の球の中心をaとし、その配列をA層とする。A層には、3個の球の間の空隙としてbおよびcの2種類が生ずる。そのどちらも同価であるから、第2層は球の中心がbの空隙の上にくるように積み上げたとする。すると、次の層を積み上げるやり方は二通りある。一つは第1層と同じ配列Aをのせるやり方であり、もう一つは第1層の空隙cの上に第3層をのせるやり方である。前者のABの繰り返しで積み上げた構造を六方最密構造といい、配列Aの各球の中心を格子点とすると単純六方格子ができる。ABCを繰り返す後者で生ずるのは立方最密構造であり、各球の中心を格子点とすると面心立方格子を得る。いずれの場合も、単位格子(単位胞)の中で球が占める体積(充填(じゅうてん)率)は単位格子の体積の74%である。最密構造よりやや空隙の体積が大きくなる体心立方構造も単体の結晶にはよくみられるが、この構造での充填率は68%になる。
 立方最密構造、六方最密構造のいずれにおいても、1個の球には12個の球が隣接する。体心立方構造ではその個数は8となるが、隣接する6個の単位格子の体心にあるやや離れた球まで含めれば14となる。このように、結晶中のある原子に着目し、その原子に隣接して位置する原子の個数を、その原子の配位数という。
 最密構造で詰め込まれた球の間には2種類の空隙を生ずる。一つは4個の球に囲まれた空隙で、その中心は各球の中心を結んで得られる正四面体の中心になっている。別の空隙は6個の球に囲まれ、その中心は各球の中心を結んで得られる正八面体の中心になっている。体心立方構造においても、それぞれ4個および6個の球に囲まれた空隙があるが、正四面体および正八面体よりかなりひずんだ構造となる。これらの空隙にほかの原子やイオンが入り込むと化合物の結晶になるが、化合物では原子、分子、イオンの形や寸法の組合せがさまざまに変わるから、それに応じて結晶の構造も複雑になる。[岩本振武]

空間格子

ある物質が一定の結晶構造をもつならば、その単結晶には構造を反映した特徴が現れる。同一物質の結晶が、成長した媒質の条件によって異なる外形を示すこともある。たとえば、純水溶液から成長した塩化ナトリウムの結晶は立方体となるが、10%尿素水溶液から成長したものは正八面体となることが多い。このような外形の特徴を晶癖(しょうへき)というが、いずれも結晶内の原子の配列状態を反映したものである。塩化ナトリウムでは、面心立方格子の構造をもっており、立方体の外形を示すことは容易に理解できよう。またこの立方体の面心の位置を結ぶと正八面体になることも簡単な作図から理解できる。
 結晶構造の周期性は空間格子によって表されるが、まず一次元の周期性から考えてみると、a軸上に同一図形が並んでいる例がわかりやすい。図形内に任意の1点(格子点)をとり、それと同価の隣の図形内の格子点と順次結んでいくと、a軸上に距離aの間隔を置いた点の配列ができる。図形のどこに点を設定してもaの値に変わりはない。この点の配列を一次元格子、aをその基本周期という。次に一次元格子を等間隔で平行に並べると二次元格子ができる。二次元格子は、a軸の基本周期ab軸の基本周期b、およびab両軸のつくる角γで規定される。このときbの値はなるべく小さくなるよう設定する。二次元格子を等間隔で平行に積み上げれば三次元格子ができる。これが空間格子(結晶格子)である。空間格子は、3辺の長さがabc、それらの間でつくる角αβγで規定される平行六面体を一単位とし、これを各軸に沿って平行移動させればつくられる。この平行六面体が単位格子(単位胞)である。このとき、abcはなるべく短く、αβγは90度あるいはなるべく90度に近い値となるよう設定するのが普通である。
 空間格子の格子点を任意に選んで平面(格子面)をつくると、それと等間隔で平行な平面の組合せが得られる。それらの格子面は、結局すべての格子点を含むことになる。格子面はabc軸をそれぞれかならずa/hb/kc/lの間隔でくぎっている。hklは0を含む整数で、格子面のミラー指数Miller indicesとよばれる。ミラー指数が0となるときは、その軸を無限遠でくぎる、つまりその軸に対して平行な面である。格子面はミラー指数によって(hkl)の記号で示され、負の指数となる場合は()のようにして示す。塩化ナトリウムを例にとると、純水溶液から成長した立方体の結晶には

の各面が現れ、10%尿素水溶液から成長した正八面体の結晶には

の各面が現れている。格子面(hkl)の方向と面間隔は格子定数abcαβγによって定まるから、同一結晶であれば、晶癖のいかんにかかわらず、ある面と他の面とのなす角は一定になる。この関係は結晶外形の観察からすでに17世紀から面角一定の法則として知られていたが、結晶構造の詳細が判明している現在では、空間格子から必然的に導かれる自明の結果である。[岩本振武]

対称と点群(晶族)

ある形をもつ物体をその物体を貫通する適当な軸の周りに回転させ、元の形と一致する(同位する)ことがあれば、その軸を回転軸という。すべての物体は360度回転させれば同位する。軸、鏡面、対称心などのように、それに基づいて物体の対称性を決めるものを対称要素、回転や鏡映、反転などの対称要素に基づいて行う操作を対称操作という。n回回転軸とは、(360/n)度の回転で同位する回転軸である。回転と反転とをあわせて行う操作を回反というが、ある物体を回転軸の周りで回転させ、ついでその軸上にある点について反転させれば同位するとき、その軸を回反軸という。1回回反軸は対称心の存在にほかならず、2回回反軸はその軸に直交する鏡面の存在にほかならない。反転とは、対称心を原点として、座標(x, y, z)の点を座標(-x, -y, -z)に移す操作で、鏡映とは、ある平面(鏡面)の手前にある点を鏡面と直交する直線上で等距離だけ反対側に移す操作である。結晶の外形に現れる特徴をその対称性からみると、結晶で独立に存在が許される対称要素は1、2、3、4、6回回転軸と1、2、4回回反軸の8種類だけであることが知られている。

これらのうち、5種の回転軸を本義回転軸、3種の回反軸を転義回転軸という。
 結晶に現れる対称性は、これらおよびその適当な組合せ32種類であり、これを点群point groupまたは晶族という。群という用語は、これが数学の群公理を満足しているために使われている。点群はシェーンフリースの記号、あるいはヘルマン-モーガンの記号で表すが、結晶の対称要素が示されている後者のほうが便利である。[岩本振武]

結晶系

単位格子の選び方には任意性があるが、abcをなるべく短く、αβγを90度あるいはなるべく90度に近くなるよう設定すると、単位格子は形の特徴に従って7種類に分類できる。これを結晶系crystal systemという。結晶の空間格子は単位格子の平行移動によってつくられるから、前に述べたように結晶に許される回転軸が限定されるのである。簡単にするために二次元平面で考えると、同一図形で平面を空隙がなく埋め尽くすためには、正五角形や正八角形では不可能であり、正三角形、平行四辺形、正六角形などであれば可能となる。[岩本振武]

ブラベ格子

空間格子の格子点はすべて等価である。ある単位格子を取り出し、その一頂点となる格子点を原点として結晶軸を設定したとき、残りの七頂点にある格子点も原点とまったく同じ幾何学的関係にある。このような格子点は、単位格子の八頂点のほかにも存在していることがある。単位格子内に平行六面体で、互いに平行な一組の面の中心にも存在するときは底心格子であり、3組の平行面のすべての中心にも存在するときは面心格子である。平行六面体の中心に存在するときは体心格子である。これらに対し、8個の格子点のみでつくられる格子を単純格子という。
 7種の結晶系についてどのような格子が可能であるかは1850年フランスのブラベによって明らかにされ、14種しかありえないことが知られている。これをブラベ格子という。三方晶系には、単純菱面(りょうめん)体格子に対応するものと、単純六方格子に対応するものとがある。単純格子に対して、それ以外の格子を多重格子、体心および底心格子を二重格子(多重度2)または複格子、面心格子を四重格子(多重度4)という。底心格子を側面心格子ということもある。すべての格子について平行六面体の各頂点は等価である。[岩本振武]

空間群

ブラベ格子の形がもつ対称性は、あくまで形そのものの対称性であり、単位格子内にどのように原子が配列しているかを示すわけではない。点群やブラベ格子は、周期性をもつ結晶構造のなかから、その単位となるものを取り出した、いわば孤立している構造を問題にしているが、結晶内では隣にも単位格子が存在している。そこで、隣の単位格子への平行移動を考えに入れると、新しい対称要素が発生する。それらは螺旋(らせん)軸と映進面である。螺旋軸は、回転とその軸に沿った平行移動の組合せである。また映進面は、鏡面での反射とその鏡面に沿った平行移動の組合せで、平行移動の距離は各周期の2分の1、いずれか二つの周期の和の2分の1(対角映進面)、あるいはいずれか二つの周期の和または差の4分の1もしくは三つの周期の和または差の4分の1(ダイヤモンド映進面)である。なお、回転+鏡映の対称操作を回映というが、1回回反軸は2回回映軸、2回回反軸は1回回映軸と等しい。
 結晶系、点群、ブラベ格子、螺旋軸、映進面の結晶構造において許される組合せは230種に限定され、それらのおのおのは数学的には群としての性質をもつため、空間群とよばれる。空間群がどのような対称要素をもつかは国際結晶学連合から刊行されるInternational Tables for Crystallography, Vol.Aに詳しく記載されている。空間群には同書での記載順に番号がつけられ、シェーンフリースの記号とヘルマン‐モーガンの記号が併記されている。シェーンフリースの記号は、対応する点群の記号の右肩に記載順の番号がつけられているだけであって、対称要素の説明には不十分なところがある。
 ヘルマン‐モーガンの記号は、その空間群の基本となるブラベ格子の記号に続いて必要最低限度の対称要素が連記されており、空間群の内容を知るには便利である。結晶データの記載にはヘルマン‐モーガンの記号が一般に用いられている。[岩本振武]

結晶の種類

結晶を構成する化学種が原子であるか、イオンであるか、分子であるかによって、あるいはどのような化学結合によって結晶がつくられているかを基準にして結晶を分類することができる。[岩本振武]
金属結晶
単体の金属や合金は、原子が面心立方(立方最密)、六方最密、あるいは体心立方構造をつくった結晶構造をもつことが多い。各原子が提供する結合電子(価電子)は金属結晶全体に共有される金属結合をつくっている。結晶構造は一般に原子1個当りに金属結合で使われている電子の個数に依存しており、その数が1.5以下では体心立方構造、1.7~2.1では六方最密構造、2.5~3.2では面心立方(立方最密)構造となることが多い。
 金属結晶では、原子一つ一つの間に方向性の定まった結合はないと考えられる場合が多く、たとえていうなら、金属結晶全体にわたる金属結合電子の海があり、そのなかに金属の原子(陽イオン)が島状に配置されているとみることができる。したがって、外力を加えると原子(陽イオン)の層が容易に移動し、延性(細長く伸びる性質)や展性(薄く広がる性質)を示す。[岩本振武]
共有性結晶
結晶全体が方向性のある共有結合で連結された原子によって構成される結晶であり、ダイヤモンドがその典型的な例である。ダイヤモンドでは炭素原子がそれぞれ正四面体の頂点と中心を兼ねた位置を占め、1個の原子がそれぞれ4個の原子と結合した三次元無限連続構造をとる。すなわち一つの単結晶そのものが巨大な分子からなるものと考えられ、これらを巨大分子といっている。ケイ素、ゲルマニウムなどの14族元素の単体もダイヤモンド型構造をとる。結合電子数を原子1個当りで平均すれば4となる13族元素と15族元素との化合物、あるいは12族元素と16族元素との化合物も、ダイヤモンド型と同じような構造をつくることがある。共有性結晶は一般にきわめて硬く、ダイヤモンド以外でも、同型構造をとる窒化ホウ素はダイヤモンドよりも硬い。また、それらの融点もきわめて高い。しかし、結合の方向性が厳密なために延性や展性には乏しく、破断性の外力に対してはもろい。ケイ素、ゲルマニウムなどの14族元素の単体や、13族元素と15族元素との化合物(GaP, GaAsなど)は半導体として電子材料に利用される。[岩本振武]
同素体
同じ元素の単体であっても、分子構造あるいは結晶構造の異なるものを同素体という。黒鉛はダイヤモンドと並ぶ炭素の同素体であるが、炭素原子間の共有結合では二次元の層状構造をつくる。原子1個は互いに他の3個と結合して正六角形状の網面をつくって二次元連続構造をとる。しかし、層間には直接の化学結合はなく、分子結晶と同じような分子間力だけが作用する。したがって、次に述べる分子結晶と考えることができる。窒化ホウ素にもダイヤモンド型とは別に黒鉛型構造をとるものがあり、これらは層間の分子間力が層内の共有結合に比べてはるかに弱いために、層間ではがれる劈開(へきかい)性や、層間のすべりによる潤滑性を示す。[岩本振武]
分子結晶
もっとも簡単な分子は貴ガス(希ガス)にみられるような単原子分子であり、これらは主として面心立方構造の結晶をつくる。この種の結晶は分子間力で凝集するが、液体としての温度範囲がきわめて狭い特徴がある。多原子分子の結晶では、一般に分子量が大きいものは融点が高くなるが、分子の形や極性による影響も大きい。極性のある物質では、電気双極子モーメントによる静電的相互作用や水素結合も結晶の凝集力に寄与している。[岩本振武]
イオン結晶
イオン結合によって生ずるのがイオン結晶である。融点は比較的高く、液体として存在する温度範囲も広い。見かけ上はイオン結晶と考えられる物質でも、その結合にかなり共有性をもつものもあり、それらは一次元、二次元、または三次元の連続構造をもつ共有性結晶に近い性質を示すことがある。[岩本振武]

結晶成長

適当な溶媒と溶液をつくる物質の結晶は、その過飽和溶液から成長する。過飽和溶液は、溶解度の温度差を利用して高温度の飽和溶液を冷却するか、溶媒を常温で蒸発させれば得られる。これらの場合、冷却や蒸発の速度を小さくすると大きい単結晶を得ることも可能であるが、速度が大きいと小形の微結晶を得ることが多い。また、結晶成長の際に不純物や母液を取り込むこともある。このような場合にはそれらの結晶を取り出してもう一度溶液とし、再結晶を試みることが行われる。
 固体が直接気体に変化することを昇華というが、逆に、気体が直接固体になることも昇華ということがある。固体を昇華させて得た気体を冷所に集めて結晶化させると良好な単結晶となることがある。無機化合物や金属塩は、融解物あるいは融解塩溶液からの結晶成長が単結晶製作法として実用化されている。結晶化すべき物質を融点よりやや高い温度の融体とし、真空または不活性気体の雰囲気中で種となる微結晶を融体に浸し、徐々に冷却しながら引き上げて結晶を成長させる単結晶引上げ法のほか、さまざまな方法があり、とくに高純度を必要とする電子材料の製法に応用されることが多い。雪の結晶にみられるような樹枝状に発達した結晶は、飽和溶液からの溶媒の蒸発によって得られることが多く、微細な単結晶が連結したものであるが、個々の単結晶は軸方向の整った良質の構造をもつものといわれている。[岩本振武]

結晶の性質

結晶の性質は、それを構成している各原子あるいは分子そのものに由来するほか、それらの結晶内での相互位置の関係にもよることが多い。それらの結果として現れる異方性は、光学的性質としては、屈折率、光吸収係数、旋光度、偏光解消度などにみられる。電気的性質としては、導電率、誘電率、磁気的性質としては磁化率などがあり、また、機械的性質としては圧縮率、弾性率のほか、ある結晶面に沿ってはがれやすい劈開(へきかい)性がある。さらに比熱の温度変化のような熱的性質には、結晶内での分子の再配置や運動性なども関与する。結晶の構造とこれらの諸性質との関係は、物質の本性や化学結合性の理解のために重要な情報を与えるものとなっている。[岩本振武]

人工宝石

錬金術は近代化学の発展によって否定されたが、ダイヤモンドのような高価な宝石の人工製造は高温高圧技術の進歩によって発展した。ダイヤモンドの化学組成が炭素にすぎないことが判明すると、多くの化学者がこれを人工合成しようと試みた。その最初は19世紀末のフランスのモアッサンやイギリスの無名の化学者ハネーらの試みであり、20世紀に入ってハーバード大学の物理学者ブリッジマンらの超高圧下での合成実験は超高圧物理学の格段の進歩をもたらしたが、いずれも科学的な意味でのダイヤモンド合成としては不成功に終わった。1956年アメリカのゼネラル・エレクトリック社は9万5000気圧、1600℃の条件下で合成に成功した。一方、ルビー、サファイアなどのコランダム系宝石の人工合成は比較的早く発展し、軸受、レコード針、装飾用などに多用されている。宝石は地球の進化に伴う高温高圧の特殊な条件下で天然に成長した結晶であるものが多く、そのような条件を人工的に設定できれば原理的には合成が可能である。[岩本振武]
『仁田勇監修『X線結晶学』上下(1961・丸善) ▽C・W・バン著、笹田義夫訳『化学結晶学』(1970・培風館) ▽齊藤喜彦著『化学結晶学入門』(1975・共立出版)』

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世界大百科事典内の結晶の言及

【固体】より

… この点で,バケツに入れた水がバケツの形に従うように,液体,気体の通性とはきわめて対照的である。
[結晶と非晶質]
 固体では,それを構成する原子または分子は,固定した位置をもっている。この原子が空間的に規則正しく配列したものは結晶と呼ばれる。…

【双晶】より

…同一の種類の結晶の集合状態の一種。一つの種類の結晶ができるときには,遊離した個々の単結晶となる場合もあるが,多くは結晶個体が互いにくっつきあった集合体となる。…

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