改訂新版 世界大百科事典 「クロロ白金酸」の意味・わかりやすい解説
クロロ白金酸 (クロロはっきんさん)
chloroplatinic acid
塩化白金酸,白金塩化水素酸ともいう。酸化数+Ⅱおよび+Ⅳの白金を含む酸とその塩が知られている。
テトラクロロ白金(Ⅱ)酸
化学式H2[PtCl4]。H2[PtCl6]水溶液を還元すると赤色溶液として得られる。この溶液に金属の水酸化物を溶かすと塩MⅠ2[PtCl4](MⅠは1価陽イオン)が得られる。塩は赤色結晶。アルカリ塩などは水に易溶。[PtCl4]2⁻は平面正方形型構造をもつ。カリウム塩K2[PtCl4](比重3.382(25℃)),セシウム塩Cs2[PtCl4],バリウム塩Ba[PtCl4]・3H2O(比重2.868)などがある。
ヘキサクロロ白金(Ⅳ)酸
化学式H2[PtCl6]。白金を王水に溶かし,塩酸とくりかえし蒸発すると6水和物が得られる。赤褐色柱状晶。潮解性で,水,エチルアルコール,エーテルに溶ける。水溶液は強酸である。この水溶液に金属塩を加えると塩MⅠ2[PtCl6]が得られる。塩は一般に黄色ないしだいだい色の結晶。リチウム塩Li2[PtCl6](無水和物と6水和物がある),ナトリウム塩Na2[PtCl6](無水和物と6水和物がある)は水によく溶けるが,カリウム塩K2[PtCl6],アンモニウム塩(NH4)2[PtCl6]などは比較的溶けにくい。このためH2[PtCl6]はカリウムの分析試薬として用いられる。[PtCl6]2⁻は正八面体型構造をもつ。
執筆者:近藤 幸夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報