…しかし1930年代のロシア旅行や労働者演劇の推進,また東ドイツへ帰国したブレヒトの親友といった〈共産主義的な過去〉ゆえに,非米活動委員会のブラック・リストにのせられてヨーロッパに亡命,初期の意欲作《緑色の髪の少年》(1948)ほか4本をハリウッドに残したのみで,以後はついに1本もアメリカ映画を撮らなかった。亡命初期はイタリアやイギリスでアンドレア・フォルサーノなどの匿名での映画づくりを余儀なくされたが,硬質の犯罪映画《コンクリート・ジャングル》(1960,イギリス)などで注目を集め,《エヴァの匂い》(1962,フランス),《召使》(1963,イギリス),《できごと》(1967,イギリス),《恋》(1971,イギリス)など,おもにハロルド・ピンターの脚本を得て60年代の世界映画をリードし,偽善,裏切り,罪の意識などを鋭く描き出した。70年に入っての《パリの灯は遠く》(1976)はアラン・ドロンの最良の演技の一つとして記憶される。…
※「コンクリートジャングル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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