ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シハーブ家」の意味・わかりやすい解説
シハーブ家
シハーブけ
Shihāb
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…地中海とアラビア半島の砂漠との間の,南北に細長い地域に対する歴史的呼称。ギリシア語(古典的発音ではシュリア)に由来し,アラビア語ではシャームal‐Shāmという。その正確な範囲は時代によって異なり,現在のシリア・アラブ共和国は古代以来の〈シリア〉という語の用法では最も狭い地域をカバーしているにすぎない。古代地理では,北はイスケンデルン(アレクサンドレッタ)湾周辺ないしトロス山脈以南から,南はシナイ半島までを含み,現在のトルコ共和国南東端からレバノン共和国,シリア・アラブ共和国,イスラエル,ヨルダン・ハーシム王国にまたがる地域にほぼ相当した。…
…この集団の社会組織はその宗教組織とは別に発展し,ことにオスマン帝国下で一定の自治権が認められた結果,アミールまたはハカムと呼ばれる政治的首長やジュッハールに属する在地の名士の役割を大きくした。レバノンではファフル・アッディーン2世に代表されるマーン家が指導権を握り,18世紀以降シハーブ家がこれに代わった。19世紀にはドルーズ領主たちはイギリスの援助を得て,フランスに支援されるマロン派と激烈な宗派紛争を繰り返し,1860年のフランスの軍事干渉を招いた。…
…ドルーズ派イスラムからキリスト教のマロン派に改宗してキリスト教徒との融和をすすめ,マロン派をレバノンの国民的宗教とするのに功績があった。その一族の威信は今日なお非常に高く,彼の遺骨の葬られているシハーブ家の館バイト・アッディーンは昔日の栄華をしのばせる。【林 武】。…
…そのとき,広大な荒地を桑畑に転化させて,国際商品である生糸の生産に向かい,新鋭兵器の購入資金を調達したマロン派教団の経済力と政治工作とがあった。シハーブ家の改宗もこの変化に即したものであり,マロン派教団は国民宗教としての政治的正統性を確立することに腐心したのであった。 生糸生産のための養蚕の普及は,植樹者に与えられてきた伝統的権利の承認となったから,土地の私有制に転化する契機をつくり,自営農民が生まれた。…
※「シハーブ家」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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