改訂新版 世界大百科事典 「スークアン」の意味・わかりやすい解説
スークアン (使君
)
Su Quan
10世紀,中国から独立直後のベトナムに割拠した12人の土侯の総称。ベトナムは前2世紀以来中国の支配下にあったが,938年ゴ・クエン(呉権)が南漢の干渉軍を破って独立した。ゴ・クエンの死後しばらくして土豪が各地に割拠し,分裂状況となった。このうち有力なのが平橋のゴ・スオン・シ(呉昌熾),峯州のキエウ・コン・ハン(矯公罕),三帯のグエン・コアン(阮寛),超類のリ・クエ(李奎),仙遊のグエン・トゥー・ティエプ(阮守捷),細江のル・ドゥオン(呂唐),西扶烈のグエン・シエウ(阮超),回湖のキエウ・トゥアン(矯順),藤州のファン・バック・ホ(范白虎),唐林のゴ・ニャット・カイン(呉日慶),杜洞江のド・カイン・タック(杜景碩),布海口のチャン・ラム(陳覧)ら12人の土侯で,合わせて十二使君と呼ぶ。しかし,いずれもソンコイ川デルタ内に限られた。968年(または966年),ディン・ボ・リンがスークアンを倒してデルタを統一し,ディン(丁)朝を建設した。
執筆者:桜井 由躬雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報