日本大百科全書(ニッポニカ) 「センナリコケムシ」の意味・わかりやすい解説
センナリコケムシ
せんなりこけむし / 千成苔虫
[学] Bowerbankia imbricata
触手動物門コケムシ綱櫛口(しっこう)目フクロコケムシ科に属する海産小動物。浅海の石や海藻の根などに付着し、海藻と見間違うような高さ5センチメートルほどの茂み状の群体をつくる。群体は次々と二叉(にさ)に分枝する枝と、その分枝部に10~数十個が群れをなす個虫とからできている。各枝は群体の支持のために個虫が変形したもので空個虫(からこちゅう)とよばれる。枝も個虫もキチン質の外骨格をもち、柔軟性に富む。個虫は長円筒形で長さ1ミリメートルほど。個虫の先端から10本の触手を広げて餌(えさ)をとり、ガス交換を行う。触手を引っ込めると個虫の先端に四角形状の開口部が残る。群体形のよく似たツブナリコケムシAmathia distansは、個虫が螺旋(らせん)形に配列するので区別できる。
[馬渡峻輔]