翻訳|tentacle
一般に無脊椎動物の口のまわりにあって,感覚器,捕食器,呼吸器などとしての役割をする表皮,筋肉性の細長い突起をいう。ふつう分枝,付属突起,繊毛や諸種の感覚細胞,分泌細胞をもっている。イソギンチャク類などでは口をとりまいて1列から数列の輪状に,ヒドロ虫類,クラゲ類のくらげ体では傘の縁に触手が並び,刺胞細胞をもっている。クシクラゲ類には傘の背面に1対の粘着細胞をもった触手がある。渦虫類にも頭部背面に粘着性の触手をもつものがある。二枚貝類には外套(がいとう)膜の縁に感覚性の触手を列生しているものがある。多毛類の頭部には多数の糸状突起が形成されることがあり,感覚,捕食,呼吸の働きをし,触手あるいは触鬚(しよくしゆ)といわれる。触手動物では口の両側から伸長した1対の体壁のひだを軸として触手が列生する触手冠が形成され,感覚,捕食,呼吸に用いられる。翼鰓(よくさい)類にも類似の構造が数対ある。ナマコ類の口の周囲には管足が変形した触手があり,頭足類の腕あるいはそのうちの変形した1対を触手と呼ぶこともある。
執筆者:原田 英司
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下等動物の体表に存在し、伸縮や屈曲を行う運動性の突起物を、一般的に触手とよぶ。同じ運動性の突起でも、鞭毛(べんもう)や繊毛には一定の内部構造が認められるが、触手にはそのような決まった内部構造は存在しない。触手の機能は動物種によって多様で、感覚器官、攻撃および防御器官(刺胞などによる)、捕食器官、固着器官などとして働くほかに、コケムシ類などでは呼吸器官としての機能も有する。触手の示す伸縮や屈曲の運動性は、触手を形成する筋肉によって行われるのが普通であるが、ナマコの場合のように、触手内部に体液を出入させて行うものもある。
[雨宮昭南]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…軟体動物頭足類中,十腕形類(イカ類)にみられる1対の腕で,他の4対の通常腕よりはなはだしく長く伸ばすことができる。コウイカ類では第3,第4腕の間にあるポケットにたたみこまれていて,捕食の時にすばやく伸ばされる。それ以外のイカ類ではふだんは縮められているが,ポケットにたたみこまれることはない。触腕は柄部stalkと掌部clubからなり,掌部には通常2~4列,種によっては8~16列あるいは20列以上もの吸盤があり,その角質環の歯の大きさや並び方は通常腕のそれと異なっている。…
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