改訂新版 世界大百科事典 「ナポレオン金貨」の意味・わかりやすい解説
ナポレオン金貨 (ナポレオンきんか)
napoléon[フランス]
小口投資の対象になっているフランスの20フラン古金貨。フランス人は昔から金選好が強く,とくに金貨は愛好され,大量に現存するために希少価値の低い古金貨が,地金価値と大差ない価格で取引されてきた。ナポレオン金貨は,ナポレオン1世の金貨をさすと解する説もあるが,現在では,1852年から70年にかけて発行されたナポレオン3世の肖像入りの20フラン金貨を中心とした,投資の対象となっている20フラン金貨の総称として使用されている。直径21mm,重量6.45g,品位900/1000。金地金の価格に連動して相場の形成される金貨は,近年各国で新規に発行されるようになった(南アフリカ共和国のクルーガーランド金貨,カナダのメープルリーフ金貨,中国のパンダ金貨など)が,ナポレオン金貨は,かつての金本位制時代に流通した貨幣が大量に退蔵されていたものである。
執筆者:重成 侃
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報