化学辞典 第2版 「ハロゲン化三窒素」の解説
ハロゲン化三窒素
ハロゲンカサンチッソ
trinitrogen halide
N3X(X = F,Cl,Br,I)のこと.N3 は,陽イオン,陽性の基,無電荷の基の場合には三窒素(trinitrogen)という.普通,陰イオンはアジ化物(azide),配位子はアジド(azido)という.なお,N3Xは共有結合化合物であるから,アジ化ハロゲン(halogen azide)ともよばれる.N3Fは F2 とHN3との反応で生成する.N3ClはNaN3とNaClOとを反応させ,酢酸酸性にすると生成する.X-N-N-N型で,3Nは直線形で,∠X-N-N約110°.N-Nは,X側が約1.25 Å,N端側が約1.12 Å(Xによりやや異なる).N3Fは不安定な気体.N3Clは無色の気体.沸点-18 ℃.N3Brは橙色の液体.融点-45 ℃.N3Iは黄色の爆発性の固体.いずれも有機溶媒に可溶.水を加えると分解してHN3を発生する.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報