ヒメマツタケ(その他表記)Agaricus blazei Murrill

改訂新版 世界大百科事典 「ヒメマツタケ」の意味・わかりやすい解説

ヒメマツタケ (姫松茸)
Agaricus blazei Murrill

担子菌類ハラタケ目ハラタケ科の食用キノコ。名にマツタケとついてはいるがマツタケとは縁はなく,いわゆるマッシュルームと同属近縁のキノコである。ブラジル野生の菌で食用にされているものを同地在住の日本人が持ち帰り,数年前から市販されるに至った。初めは食用が主目的だったが,その後制癌薬として有望だということで研究がすすみ,今は保健食品,癌の民間薬として一部民間で栽培されており,幼菌のうちに収穫される。市場に出るものは高さ4~5cm,かさは鐘形で表面は淡紫褐色,細かい鱗片をおびる。茎は下ぶくれ,表面は白く,内は充実する。他のハラタケ属と同様成熟すると胞子は紫褐色になり,したがってひだも同じ色になるが,市販品はかさが開く前なのでひだは白く,また外からは見えない。北アメリカの東南部と南アメリカに分布し,日本には自生しない。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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