除虫菊(シロバナムシヨケギクChrysanthemum cinerariaefolium)の花の殺虫成分で,ピレトリン(pyrethrin)Ⅰ,Ⅱ,シネリン(cinerin)Ⅰ,Ⅱ,ジャスモリン(jusmolin)Ⅰ,Ⅱの混合物.ピレスロイドは神経細胞Naチャネルのブロッカーで,速効的な殺虫効果を示す.天然ピレスロイドは光に対して不安定なため,農薬としてはフェンバレレートのような合成ピレスロイドが開発され使用されている.LD50 1030~2370 mg/kg(ラット,経口).
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…天然物系殺虫剤は高価のためと有効な合成殺虫剤の開発の結果,その使用は著しく減少していた。しかし,最近天然ピレスロイドをモデルとした合成開発研究が進み,ペルメトリン,シペルメトリンなどのNRDC系,フェンバレラートやエトフェンプロックスなどのきわめて殺虫力の高い薬剤が開発され,従来衛生害虫の防除にのみ用いられていたピレスロイドの農業面への利用の可能性が開かれた。 ジフルベンズロンやブプロフェジンなどの昆虫成長制御剤と呼ばれる一連の殺虫剤は,昆虫におけるキチン合成を阻害したり,幼若ホルモン活性を示し,その作用により昆虫の脱皮・変態が撹乱されて殺虫作用が発現する。…
…殺虫成分を約0.8~1.3%含み,粉末を蚊取線香,ノミ取粉,農業用殺虫剤の原料とする。殺虫成分はピレスロイド(ピレトリン)で,ピレトリンIおよびII,サイネリンIおよびII,ジャスモリンIおよびIIの6種(いずれも液状)が判明している。ピレスロイドは,人間や家畜のような温血動物にはほとんど毒性を示さないが,昆虫類に対しては強力な運動神経麻痺作用を示し,自然界では容易に分解して毒性を失う。…
…現在では,アフリカのケニア,タンザニアが主生産国である。ジョチュウギクの殺虫成分はピレスロイドと総称され,ピレトリンI,II,シネリンI,II,ジャスモリンI,IIの6種からなる。いずれもシクロプロパン環を有する酸と5員環環状ケトンアルコールとのエステル体である。…
※「ピレスロイド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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