フンブオン(その他表記)Hung Vuong

改訂新版 世界大百科事典 「フンブオン」の意味・わかりやすい解説

フンブオン (雄王
)
Hung Vuong

ベトナム神話の原初国家バンラン(文郎)の第18王の称号。15世紀の《大越史記全書》等によると,中国帝の異母弟のキンズオン(涇陽)王が洞庭君の娘と接してラクロンクアン(貉竜君)を生み,君は山性のアウコ(嫗姫)との間に100の卵を生み,その一つから初代フンブオンが出た。フンブオンは山と水,中国とベトナムという二重の対立の調停者としてバンラン国を興し,また代々維持したが,18代フンブオンがこの対立を激化させた。このためバンラン国はアンズオン(安陽)王に,アンズオン王は広東の南越国に,南越国は漢に,と次々に滅ぼされ,ベトナムは1000年に及ぶ北属時代に入った。革命後,フンブオンの故地とされるソンコイ川中流部に漢以前の初期金属器時代の遺跡が数多く発見され,フンブオンの建国史実であるとベトナムの学者たちは主張している。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android