改訂新版 世界大百科事典 「ベルガエ」の意味・わかりやすい解説
ベルガエ
Belgae
カエサルの《ガリア戦記》が記すガリアの3住民集団の一つで,セーヌ・マルヌ両川以北,北海とライン川の間に居住。前3世紀ケルト人とゲルマン人が混じて形成された。カエサルはベルガエの豪勇を伝えているが,諸部族間の統合を欠き,前57年カエサルによってほぼ征服され,前52年最も好戦的なベロウァキ族Bellovaciも平定されて,以後はしだいにローマ化した。アウグストゥス治下,この地は皇帝管轄属州ガリア・ベルギカGallia Belgicaとなり,ドミティアヌス治下にそこから上・下両ゲルマニア州が分離,さらにディオクレティアヌスの帝国再編でベルギカ・プリマBelgica Primaとベルギカ・セクンダBelgica Secundaの2州に分かれた。また,ベルガエの一部は前75年ころおよびカエサルのガリア征服の際,イングランド南部に渡り,カトゥウェラウニ族Catuvellauniを中心にローマのブリタニア侵略に抵抗した。なお現在の国名ベルギーはこの語に由来する。
執筆者:後藤 篤子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報