改訂新版 世界大百科事典 「ベンクル」の意味・わかりやすい解説
ベンクル
Bengkulu
インドネシア,スマトラ南部西海岸の港市。同名州の州都。人口25万4693(2003)。元来バンカウルと呼ばれ,周辺土着貴族の支配下にあった。17世紀初頭,スマトラ西海岸地方にコショウ栽培が普及し,ベンクルはこの地方一帯のコショウ積出港として栄えた。一時,西ジャワのバンテン王国の支配を受けたこともある。当時コショウ貿易に従事していたヨーロッパ列強のうち,オランダによりスマトラ中部のミナンカバウ地域から閉め出されたイギリスは,1685年に土着貴族と協定を結び,この地に居住地を設けた。以来ベンクーレンの名で知られた。1713年にイギリスはベンクル近くに要塞フォート・マールボロを建設し,西インドネシアにおける商業活動の中心地とすることを考えたが,失敗に終わった。1824年の英蘭協約でベンクルはオランダの手に委譲された。インドネシア独立後の1967年にベンクル州が設立され,州都となった。
執筆者:加藤 剛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報